Le Nozze di Figaro (フィガロの結婚)

Saturday, 23rd February, 2002.
東京文化会館
16:00 -- 19:33

Wolfgang Amadeus Mozart (1756 -- 1791)
Le Nozze di Figaro

Libretto: Lorenzo da Ponte (1749 -- 1838)
原作: Pierre Augustin Caron de Beaumarchais (ボーマルシェ, 1732 -- 1799)
Le Mariage de Figaro ou la folle journee (フィガロの結婚, 又はおかしな一日)

指揮: Pacal Verrot (パスカル・ヴェロ)
演出: 宮本亜門

Il Conte di Almaviva (アルマヴィーヴァ伯爵): 泉良平
La Contessa di Almaviva (伯爵夫人): 佐々木典子
Cherubino, paggio del Conte (ケルビーノ, 伯爵の小姓): 林美智子
Figaro: 甲斐栄次郎
Susanna, promessa sposa di Figaro (スザンナ, 伯爵夫人の次女でフィガロの婚約者): 鵜飼文子
Bartolo, medico di Siviglia (バルトロ, セビリアの医者): 鹿野由之
Marcellina, governante (マルチェリーナ, 伯爵邸の女中頭): 与田朝子
Don Basilio, maestro di musica (ドン・バジリオ, 音楽教師): 岡本泰寛

Don Curzio, giudice (ドン・クルツィオ, 裁判官): 吉田伸昭
Antonio, giardiniere del Conte e zio di Susanna (アントニオ, 庭師でスザンナの叔父): 畠山茂
Barbarina, figlia di Antonio (バルバリーナ, アントニオの娘): 品田昭子
Ragazze (花娘たち): 柴田恵理子, 矢沢雪絵


初演: 1st May, 1786, Wien, ブルク劇場

舞台設定: 17c 中頃の Spain, セヴィリア近郊の Almaviva 伯爵邸。


一週間前の天気予報では雨であったが, みごとなまでの晴れ。 おかげで花粉が飛んで大変。 花粉対策万全の出で立ち --- マスクとゴーグルのような眼鏡 --- をしていったら, いつもしているサングラスよりはましかと思ったが, いつもの連れの女性に, やっぱり怪しいと言われてしまった (^_^;; 行きの電車の中で, 今日の演目を伝えていなかったことが発覚。

上野駅はこの前日開いたばかりの 「アトレ上野」 が駅に隣接しており, 中央口 (?) から出るとその中にはいる。 さすが新しいだけあって人でいっぱい。 一寸だけその floor を見て外に出る。 これでも立派に 「アトレ上野」 を見学してきたことになるだろう (^o^)。 上野に着いたのは会場時間の 15:00 頃だが, 開演は 16:00 なので少し上野公園を散歩する。 西洋美術館で Rodin の 「地獄の門」 と 「考える人」 を少しだけ見て, 科学博物館の前を通り, キリスト教系の団体の集会を横目に見ながら行くと, 早咲きの桜が咲いていた。 二人とも今年初めて桜を見る事となる。

15:30 頃ホールに入る。 いつもなら僕が program を買うのだが, 今日は彼女が買ってくれた。 クロークでコートとマフラーを預けて, 席へ。

序曲と第一幕 16:05 -- 16:51

序曲は, 僕の感じでは少し速すぎる。 しかし連れにあとで訊いたらそうは感じなかったというから, 単なる慣れの問題だったのかも。

中央に Susanna の衣裳 case が置いてあるため --- かどうかは知らないが --- prompter box がいつもよりやや上手寄りに置いてある。 今回は照明が非常にきめ細かく演出されており, 物語の進行と登場人物の感情の変化に伴ってきめ細かく変化する。

第一幕は中央に cover の掛けられた肘掛け椅子 --- これは後方の脚に大きな車輪が付いている --- があり, その後ろに door. そしてその左右にも隠し扉のような形で door が付いていることが後に分かる。 Scena I の終わりで Susanna が伯爵夫人に呼ばれて出ていくときに。 ところで il diritto feudale (領主権) が 「(例の) あの権利」 と字幕に出ていて, これじゃ初めて見る人は, なんのことを言っているのか分からないだろうと思ったら, 原文もその通りだし, 仕方ないのであった。 いくら婉曲にするとは言え, program にも書いておかないのはどうかなとも思う。 以前私が見た本には露骨に (笑) その権利がどういう権利であったかということが書いてあった。 (それは岩波文庫の辰野隆訳である --- と書こうと思ったらどうやら違うようだ。 何で見たのか不明である)

Figaro でチェンバロが使われていたということをすっかり忘れていたが, どうやら modern cembalo だったようである。 音が硬い。 (と思ったら, 実はフォルテピアノだったようである。 ということは, 良く見ればハンマーがあったということだ。 26 日の朝日新聞にそう出ていた。)

Scena V で Cherubino が登場するが, 僕の感じでは少年とはいえやや声が高すぎる。 でも mezzosoprano だからこれでいいのかもしれない。 もう少し低い方が 「少年」 という感じが出ると思う。

Scena VI あたりから Figaro の slapstick 的な面白さが出てくる。 Mozart の真骨頂 --- というと怒る人もいるかもしれないが --- である。 宮本亜門の演出も的を外さず面白く仕上がっていた。

Don Basilio の顔が白塗りで面白い。 Conte の頭が禿という設定なのも面白い。

第二幕 16:55 -- 17:43

場面転換のために時間を取るだけで特に休憩はなし。

伯爵夫人の寝室。 中央に扉, 左右に扉。 窓は舞台とオケピの間, prompter box の更に上手に存在するという想定。 幕開き後すぐに, Susanna が窓を開けるパントマイムをしてその存在を知らしめる。 正面の壁の上の方に (何故か) 空を写しているらしい画面がある --- ここの演出意図は不明。 Scena IV で Cherubino は必然的にオケピに飛び降りる。 あとで見たら, ちゃんとマットのようなものが置いてあった。

第二幕からは喜劇としての面白さ炸裂である。 見たことのない人は是非見てみられるとよろしい (^o^)。

<<25 分休憩>>

些か休憩が長すぎるようにも思われるが, 女性用のトイレは長蛇の列が出来ていて, これでは致し方がないと思われる。 しかし, 思うに四幕もので, 休憩を一回しか入れないというところにも問題があろう。 やはりここは幕毎に休憩を入れた方が良い。 確かに全体の時間は長くなってしまうが, 座っている時間が長すぎて疲れてしまう。

第三幕 18:07 -- 18:50

Scena I 冒頭で Conte が recitativo を歌うのだが, 立ち位置が悪くて, 止まっているにもかかわらず照明の当たらない位置だったので見えないことがあった。 演出 plan の失敗か, 只単に立ち位置を間違えたのか。

舞台下手の方に一度も使われない白い piano が置いてあった。 何故必要なのか非常に疑問。 机で十分ではないのか ?

Soprano の Barbarina は声が非常に高くおきゃんな娘という image だった。 ---あ, 第二幕で既に出て来ていた (^_^;;

第四幕とカーテンコール 18:53 -- 19:33

ここで用いられる松明は本物だった (火花が飛んでいた)。 花火も手持ちの本物を用いていた。 そしてスピーカーからは打上花火の音を流し, 客席に照明を明滅させて上手く効果を出していた。

カーテンコールでは演出の宮本亜門も呼び出されていた。 TV で見るのと同じ顔だった --- 当たり前か (笑)。

この日も私の左隣の人が, 花粉症の薬の所為で, 最初から (休憩時間中も含め) 第三幕の終りまでずっといびきをかいて眠っていた。 寝ててもいいが, いびきとうなるのは止めてくれ (笑)。


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