Sunday, 7th March, 2004.
横浜みなとみらいホール 小ホール
14:00 -- 16:07
横浜みなとみらいホール 5 周年記念公演
Jií Kollert, Czech (イルジー・コレルト, チェコ), 1974--
J. Suk (スク): 4 Movements from "Spring" op. 22a, 1903. (組曲 「春」 からの四楽章):
Spring (春), Zepyr (西風), In Expectation (期待に), Longing (憧れ).
B. Smetana (スメタナ): On the Seashore (Concert Etude) in gis-moll (演奏会用練習曲 「海辺にて」)
L Janáček (ヤナーチェク): In the Mists (霧の中で), 1912:
Andante, Molto Adagio, Andantino, Presto-meno mosso.
B. Martinů (マルティヌー): 3 Czech Dances H. 154. (三つのチェコ舞曲), 1926: オブクロツァク,
ドゥパーク, ポルカ。
広瀬悦子, 日本, 1979--
J. S. Bach (arr. by F. Busoni): chorale "Ich ruf’ zu
dir, Herr Jesu Christ" BWV 639 (コラール 「主, イエス・キリストよ, 私はあなたを呼ぶ」)
F. Liszt (リスト): Sonata for Piano in b-moll S. 178. (ピアノソナタロ短調), 1853.
M. Ravel (ラヴェル): La Valse (ラ・ヴァルス), 1920.
二回あるうちの二回目。 Bach-Busoni の "Ich ruf’ zu dir, Herr Jusu Christ" が聴きたくて購入したのである。 後ろの方が一般的だが, 最近は前の方が気に入っているので, 四列目を取ってみた。
この日は大ホールで全く同じ時間に, ファビオ・ルイジ指揮 ライプツィヒ放送交響楽団で武満徹 「ハウ・スロー・ザ・ウィンド」, ベートーヴェン交響曲第 5 番 「運命」, 交響曲第 7 番をやっていた。
朝は晴れていたが段々曇ってきて正午頃雪。 だがすぐ止んで結局晴れ。 一寸時間の計算を間違えて, 13:30 の開場に十分遅れて入場。 気付かなかったがワン・ドリンク付で, 「赤・白ワイン, コーヒー, 紅茶, オレンジジュース」 の中から選択できる。 コーヒーは皆さん良くご存じのようにこの時間に飲むと夜眠れなくなるので赤ワインをグラスで一杯五分で飲む。 眠くならないか一寸心配。
この日の pfte は YAMAHA 製であった。
Jiří Kollert:
Spring: 14:07 -- 14:19
Spring: 色彩感覚豊かである。
Zepyr (西風): プログラムには 「そよ風」 と訳されているが, ギリシャ語語源で西風のことである。 ギリシャでは確かに優しいそよ風であるが。 Scale
が多用されている軽い感じの曲であるが, 何か完璧に軽くなりきれないという感じの演奏であった。
In Expectation (期待に): プログラムでは 「に」 がなかったが, これでは "In" が訳されていない。 和音進行が複雑で, 中盤が素敵。
Longing (憧れ): Romantic な感じ。 締めくくりに相応しく dynamic.
神経質そうに客席の様子を見ていた。
On the Seashore: 14:20 --14:25
上下する伴奏が一寸不明瞭になりがち。 難しそうな曲。 屡々音が濁る (pedal の問題)。 変わった和声法である。 盛り上がってきたところがなんだか普通すぎて面白みに欠ける気がする。
ここで途中入場者あり。
In the Mists: 14:26 -- 14:40
Andante: 曲調がころころ変わって捉え難い。 Chopin の様だったり, 日本音階ぽかったり,
Debussy っぽかったり。
Molto Adagio: 舞踏音楽。 音が美しい。
Andantino: 「おもちゃのチャチャチャ」 短調版という感じの出だしで一寸びっくり。 後で NHK-FM の 「きまクラ」 に投稿してみた。
(Friday, 26th March, 2004 高橋由美子の 「ご卒業スペシャル」 (春は別れの季節) に取り上げられて, 最終回なのでおまけで hit になった。
この時の記録
▽どこ似てコーナー
「おもちゃのチャチャチャ」 越部信義・作曲
(歌) 藤崎 幸子
〃 音羽ゆりかご会
<日本コロムビア 28CC−2239>
「“霧の中”から 第3番」 ヤナーチェク作曲
(ピアノ)レイフ・オヴェ・アンスネス
<東芝EMI TOCE−8748>
)
Presto-meno mosso: プログラムには 「ナノ」・モッソと書いてあったが, ナノテクじゃあるまいし, 多分間違いであろう (因みに nano
というのはちゃんとしたイタリア語でもある)。 一つ向こうの左の席の女性が (なんだか不明だが) ガサガサ五月蠅い。 曲は難しそうだが情感たっぷりで良い。
3 Czech Dances: 14:41 -- 14:50
各曲の title はチェコ語らしくて何だか分からない (ポルカは普通に分かるが)。
オブクロツァク: 前衛的。 面白い響きで楽しい。 不協和音が多いだけで意外に普通の曲。
ドゥパーク: まさしく舞踏曲で踊り出したくなる感じ。
ポルカ: 拍子が取りづらい出だし。 目まぐるしく曲調変化。 構造らしきものはある感じ。 譜面を見てみたい感じ。
和服を着た女性 (ミス横浜?) 登場。 花束贈呈。
14:51 -- 14:54: Antonín Dovořák Humoresque op. 101, 1894, No. 7 in G-dur. 中間部 (ABACABA の B) が割りにねちっこい感じで弾く。 この人に足りないのは 「軽さ」 かもしれない。
《20 分休憩》 この間 pfte 調律。 15:10 に鐘。
広瀬悦子: 青いドレス, 銀色の靴で登場。
15:15 -- 15:47
Ich ruf’ zu dir, Herr Jusu Christ: 入り込んでいるという感じの演奏。 こういう人を久し振りに見た。 一寸引いてしまう感じ。 「祈り」 が感じられない。 「悲嘆と叫び」 を身体の奥底から絞り出しているという感じの引きぶり。 時々主旋律が伴奏に埋没してしまう。
Liszt: (Bach から余白少なく演奏) Dynamic. この人の背を丸めて体重を前にかけた弾き方では大分疲れそうな気がする。 前のめりになりすぎてねちっこくなっている気がする。 もっと歯切れ良い演奏が良いと思われる。 実はそんなことはないのだが, ずっと目を閉じて弾いているように見える。 こんな演奏の仕方で楽しいのかなぁと思う。 曲はいかにも virtuoso の作った曲という感じ。 演奏技巧は卓抜で, 音は澄んでいて綺麗ではある。 Pedal の 「上げ」 の失敗が一部見られた。
La Valse: 15:48 -- 16:00
自動書記を思わせる感じの演奏。 主旋律が弱い。 音は清冽という感じ。 Melody が時々ぼやける感じ。 その所為で今一つ乗りきれない。 最後の盛り上がりは良い。
花束贈呈。 これを piano の上に置いて一時退場。
山田耕筰 からたちの花: 16:01 -- 16:05
かなり厚みのある編曲。 こういう厚みのある曲しか弾かないのだろうか。 とにかくそういう曲が好きらしいことは分かる。 花束は piano に置いたまま退場。
初日の Dmytro Onyschchenko (ドミトロ・オニシチェンコ, ウクライナ, 1983 --) と Sergey Kuznetsov (セルゲイ・クズネツォフ, ロシア, 1978) も含め四人登場。 二回。
大ホールもほぼ同じ時間に終了。 クイーンズモール大混雑であった。
この日は Bach につられていったが, Jiří Kollert の演奏の方が良かった。