魔笛 die Zauberflöte

Friday, 4th March, 2005.
新国立劇場
18:30 -- 21:52

Wolfgang Amadeus Mozart (モーツァルト 1756 -- 1791)
die Zauberflöte (魔笛)
Emanuel Schikaneder (エマニュエル・シカネーダー)

Sprecher (弁者): 多田羅迪夫, baritone.
Sarastro (ザラストロ): 黒木純, bass
Tamino (タミーノ): 望月哲也, tenor.
Königin de Nacht (夜の女王): 飯田みち代, soprano.
Pamina (パミーナ): 井上ゆかり, soprano.
Papageno (パパゲーノ): 萩原潤, baritone.
Papagena (パパゲーナ): 岩槻量子, soprano.
Monostatos (モノスタトス): 青柳素晴, tenor.
Erste Dame (侍女 1): 悦田比呂子, soprano.
Zweite Dame (侍女 2): 渡邊史, Soprano.
Dritte Dame (侍女 3): 橋本恵子, mezzo soprano
Erste Geharnischte (武士 1): 種井靜夫, tenor
Zweite Gehartnischte (武士 2): 畠山茂, bass
Die drei Knaben (子供): 中嶋周子, 瀧上美保, 前田真木子, soprano
Erster Priester (第一の僧侶): 福山出, bass
Zweiter Priester (第二の僧侶): 羽山晃生, tenor.
Zauberbaum (魔木): 上杉陽一

東京フィルハーモニー交響楽団
二期会合唱団
指揮: 下野竜也
演出: 実相寺昭雄


案内自体は八月頃に貰っているはずなのだが, 丁度卒業式の時期と重なっているのでどうしたものかと思っていた。 するとさる筋から, 監督が実相寺昭雄だから 「かぶり物」 が出現するという情報を入手した。 そこで一寸興味を持って, チケットを買うことにしたのである。

どうも e+ からだと, 新国立劇場の座席は良い所がとれないみたいである。 かといって新国立のチケットセンターまで行くのもそれなりの時間とお金がかかるので, 多少は妥協しなければいけないかもしれない。

今回は 2F 4-31 がとれた。

良く見ると Zweite Dame の渡邊史さんは 2004 年の一月に蝶々夫人のケート役でお目にかかっているし, 多田羅迪夫という名前もどこかで拝見した覚えがある。 覚えてないだけで, 他にもいるかもしれない。

Sunday, 28th November, 2004.


朝から昼にかけて雪。 午後になって晴。 寒い。 傘を置き忘れてきそうで心配。 ホールには 17:26 頃到着。

クロークは開演 60 分前からだそうだが, 着いたら丁度開かれた。 プログラムは \1000. 漫画家の加藤礼次朗の手による衣裳デザインが描いてあって大変参考になる。 これによると Tamino は前半と後半で衣裳が違っているらしい。 全然気付かなかったぞ。 あと, 粗筋の所の漫画の挿絵が良い。

二階席は位置が高い印象。 1F の左右及び 2F 上手にカメラ。 1F 中央には三台カメラがあるが, 一台は多分舞台の様子をロビーに映すやつじゃないかと。 18:05 頃, 女子高生らしいのが四人と先生 (?) がオケピを覗き込んでいた。 2ch で散々言っていた所為か 「身を乗り出すな」 とのアナウンスあり。 確かに二階より上だと身を乗り出されると見えないかも。

オケピ中央 (やや下手寄り) にチェレスタ。 18:20 頃フラッシュが数回たかれる。

歌は原語字幕付き, 台詞は日本語。

[I] 18:31 tuning -- 19:44

スクリーンに星々 (多分いい加減な星座)。 序曲では vn がびっくりするくらい遅れる。 fl も遅れた。

日本刀を振り回す, 日本人という設定の Tamino. 桃太郎みたいな image. 女官達ライトサーベルを持って現れる。 怪物ピカピカ光っている。 火花が本当に散る。 地球防衛軍の基地みたいなセット。 全体的に SF 漫画みたいな印象。

Papageno の落す鳥に照明が当たっている。 本当に落ちてくる。 名前を忘れてしまったウルトラマンの怪獣も出て来る (Nr. 2: Der Vogelfänger bin ich ja) (ペギラとシーボーズらしい)。 Papageno は煙の出る銃を持っている。

魔法の笛も, 鐘もピカピカ光る。 人物は古典的だが持っている道具はハイテク。 似姿も実は TFT かなんかの画像である模様 (そういう設定なだけだとは思うが)。

Pamina は格好が大変可愛い --- 当人ももっと可愛いと... いや何その...

(何処で出て来たかはっきり覚えてないが) さっき Papageno と出て来た怪獣の他, ピグモン, カネゴン, レッドキング, シーボーズ, ともう一つ全然見たことのない三面らしい怪獣 (妖怪? 二面かも?) が出て来る。 (2000 年での公演もそうだったらしい)

終りの拍手一寸早い。

《休憩 20 分》
今まで気付かなかったが, ホールから外を見ると中央に休憩時間の残りが表示されていた。
話の種にと思ってブラッド・オレンジ・ジュースというのを \500 で飲んでみたが, 色はトマトジュースのようだが味は普通のオレンジジュースと大して変わらない。 多少濃厚か。

[II] 20:08 tuning -- 21:52.

最初に舞台が回転しているが, どういう意図なのか良く分からず。

神官達が挙手するときの手の形がスペシゥム光線 (じゃなくてシネラマショットというらしい) の時の形。

Papageno は明太子挿み揚げとワインを欲しいという。

Nr. 14 Der Hölle Reche kocht in meinem Herzen を歌う飯田さんは声は出ているのだが, 残念ながら声が細い感じがする。 Königin de Nacht はもっとドラマティックな歌い方をする人が良いと思う。 北村さおりさんの方はどうだったのでしょうか?

第 22 場: 下がれ! (Zurück!) というところでは, prompter box の直ぐ上手に工事現場の黄色い回転灯が灯り, 指揮者がピカピカ赤く光る棒を持って 「はいはい下がって」 みたいなことを言う。

Nr. 20 Ein Mädchen oder Weibchen で Hr が (悪い意味で) 一寸びっくりするような音を出す。

Zauberbaum は Papageno が首を吊ろうとする木だが, 初め向こうを向いているので着ぐるみだと分からない。 ここのところコミカルで面白い。 輪になった綱を差し出して自殺を迫る。 Drei はこの木が言う。 (この辺も 200 年の公演からそうだったらしい)

Pa-Pa-Pa での子供はキューピー人形だが最後の一人だけブースカである。

終幕, 童子等三人が金色の紙吹雪を撒く。

場所が分からないところを纏めて最後に書くと:

台詞が大分現代的になっている。 「気合いだ! 気合いだ! 気合いだ!」 「負け組は嫌だよ〜」。 Papagena E カップ。 Papageno 「H したい」 とか。

Papageno は大分甘えん坊的台詞回し。

結構光っていて眩しい。 ライトサーベルとか, 階段の上手部分が開くのだが, そこから上に向かって光が出て来るので二階席中央上手側は眩しくてしょうがない。

ヘクサグラム (ダビデの星) が何回か出て来る。

Bach の音楽が生きているなあと思うところあり。

Monostatos が靴フェチ (Pamina の靴を脱がせて臭いを嗅ぐ)。

全体的に大変楽しい舞台であった。 会話も漫才のようだったりして。

只, 魔笛も見慣れた人ならいいが, 最初からこの舞台を見ちゃうのはどうかと思う。 そういえば子供もいたが, オペラって皆こんなものと思っちゃうのもどうだろうか。

カーテンコールが二回あったが, 直ぐに客電を灯した。 時間も遅かったからであろうか。


演出の実相寺昭雄: 2006/11/29 23:45 胃癌の為死去。 69 歳。


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