Der Herr ist mein getreuer Hirt (主は我が善き牧者)

BWV 112 (BC A67 by Hans-Joahim Schulze, Christoph Wolff: Bach-Compendium)
Dominica Misericordia Domini (復活節の日曜日に)

Thursday, 14th August, 2003.


Text: Wolfgang Meuslin, 1530.

[1] Coro.

Der Herr ist mein getreuer Hirt,
Hält mich in seiner Hute,
Darin mir gar nichts mangeln wird
Irgend an einem Gute,
Er weidet mich ohn Unterlaß,
Darauf wächst das wohlschmeckend Gras
Seines heilsamen Wortes.

主は我が善き羊飼い
私を見守っている
私に何一つ欠けさせることなく
善きもので満たされる
私を絶え間なく牧場に導く
そこでは誠に美味き草生い茂る
それは主の幸いなる言葉

[2] Aria (Alto)

Zum reinen Wasser er mich weist,
Das mich erquicken tue.
Das ist sein fronheiliger Geist,
Der macht mich wohlgemute.
Er führet mich auf rechter Straß
Seiner Geboten ohn Ablaß
Von wegen seines Namens willen.

汚れなき水を私に示され
それによって私は元気になる
それは主の聖霊
それが私を快活にさせる
主は私を正しき道へと導かれる
絶え間なき主のお命じと
主の御名に於て

[3] Recitativo (Basso)

Und ob ich wandelt im finstern Tal,
Fürcht ich kein Ungelücke
in Verfolgung, Leiden, Trübsal
Und dieser Welte Tücke;
Denn du bist bei mir stetiglich,
Dein Stab und Stecken trösten mich,
Auf dein Wort ich mich lasse.

そしてもし私が暗黒の谷を彷徨 (さまよ) うとも
恐れはしない
追求, 苦悩, 不幸
そしてこれらのこの世の悪意の絶え間なさを
何故ならあなたが常に私の傍らにいらっしゃるから
あなたの杖と笞とで私は慰められる
あなたの言葉に私は拠り頼む

Stab と Stecken は同じ意味 (杖) であるが上記のように訳した理由は下記参照。

[4] Duetto (Soprano, Tenore)

Du bereitest für mir einen Tisch
Vor mein’ Feinden allenthalben,
Machst mein Herze unverzagt und frisch,
Mein Haupt tust du mir salben
Mit deinem Geist, der Freuden Öl,
Und schenkest voll ein meiner Seel
Deiner geistlichen Freuden.

あなたは私の為に卓を整えられる
私の敵の前至る所に
私の心をひるませず快活にさせ
私の頭に油を注ぐ
あなたの聖霊, 喜びの油をもって
そして私の魂にいっぱいに注いでくださる
あなたの聖霊の喜びで

[5] Choral (Coro)

Gutes und die Barmherzigkeit
Folgen mir nach im Leben,
Und ich werd bleiben allezeit
Im Haus des Herren eben,
Auf Erd in christlicher Gemein
Und nach dem Tod da werd ich sein
Bei Christo, meinem Herren.

善きものと慈悲と
生涯私に付き従う
私は常に主の家で
穏やかでい続けよう
キリスト教的共有地の中のこの世で
我が主イエスのそばで

実はこのカンタータは次の詩篇をドイツ語の詩にしたものであるので, Teldec の booklet についている英語訳などを見ると, ドイツ語からの逐語訳ではなくて, 詩篇からの意訳になっているようである。
 私の感じであるが, どうやら Teldec の英語への翻訳者はドイツ語があんまり分かっていないようである。 上記 [3] での „Auf dein Wort ich mich lasse.“ の sich auf jn. lassen (= verlassen) が 「ある人を信頼する, 頼る」 の意味であるのに, "Give me comfort, give me comfort" というわけの分からない訳 (前の行の繰り返し) になっている。 フランス語への翻訳者はその辺ちゃんと分かっていて «A ta parole je m'en remets.» と正しい訳になっている。

詩篇 第 23 編 1賛歌。 ダビデの詩。
主は我が牧者なり, 我乏しきことあらじ。
2主は我を緑の野に () させ,
憩いの (みぎわ) に伴い給う。
3主は我が魂を生かし,

御名の故を以て我を義しき路に導き給う。
4例え我死の影の谷を歩むとも災いを恐れじ,
汝我と共に在ませばなり,
汝の (しもと) 汝の杖我を慰む。

6汝我が (あた) の前に我が為に (えん) を設け,
我が (こうべ) に油を注ぎ給う,
我が (さかづき) は溢るるなり。

7我が世にあらん限りは
必ず恩恵 (めぐみ) 憐憫 (あわれみ) と我に添い来らん,
我はとこしえに主の宮に住まん。

これは日本聖書教会の文語訳を新共同訳の行わけと節番号付けに従って書いたものだが, 上の歌詞を理解するためには新共同訳の方が適切なような気がするので, そちらも掲げておく。

1賛歌。 ダビデの詩。
主は羊飼い, 私には何も欠けることがない。
2主は私を青草の原に休ませ
憩いの水のほとりに伴い
3魂を生き返らせてくださる

主は御名に相応しく
  私を正しい道に導かれる。
4死の陰の谷を行くときも
  私は災いを恐れない
あなたが私と共にいてくださる。
あなたの鞭, あなたの杖
それが私を力づける。

5私を苦しめる者を前にしても
あなたは私に食卓を整えてくださる。
私の頭に香油を注ぎ
私の杯を溢れさせてくださる。

6命のある限り
恵みと慈しみはいつも私を追う。
主の家に私は帰り
生涯, そこにとどまるであろう。


Miscellaneous の index
HOME