自由に関する格言

人間が幸福で, 完全に自由であるような状態は, この世にないが, 人間が完全に不幸で, 少しの自由もないような状態も, 亦あり得ない。

レフ・トルストイ
戦争と平和 第四巻 第三部 12

自由であることは, 自由であるように呪われていることである。自由は状況のうちにしか存在しないし, 状況は自由によってしか存在しない。

Jean Paul Sartre (サルトル)

我々は自由ではない。過去に縛りつけられている。今までに行われたことに耳を傾け, それを繰り返すだけだ。

アンリ・バルビュス (田辺貞之訳)
地獄 X

Love gives and freedom takes. (愛は与え自由は奪う)[拙訳]

James Joyce (ジョイス)
Stephen Hero XXV (スティーヴン・ヒーロー)

自由は秩序を作り, 強制は無秩序を作る。

J. -H Fabre (ファーブル)
Souvenirs Entomologiques (昆虫記)

You know, there are two good things in life, freedom of thought and freedom of action. In France you get freedom of action: you can do what you like and nobody bothers, but you must think like everyone else. In Germany you must do what everyone else does, but you may think as you choose. They're both very good things. I personally prefer freedom of thought. But in England you get neither: you're ground down by convention. You can't think as you like and you can't act as you like. (人生には二つのいいことがある。思想の自由と行動の自由だ。 フランスでは行動の自由が得られる。したいことが出来, 誰も気にしないが, 他の人のように考えねばならない。 ドイツでは他の人がするようにせねばならないが, 好きなように考えることができる。両方ともとてもいいことだ。 個人的には思想の自由の方がいい。でもイギリスではどちらも駄目だ。 慣習に押さえつけられてしまう。好きなように考えることも出来ないし, 好きなように行動することも出来ない。)[拙訳]

William Somerset Maughm (サマーセット・モーム)
Of Human Bondage XXIII (人間の絆)

そうだね, 僕は乞食 (clochard) だ, 父さん。 社長にしかなれない憂鬱よりも, 乞食になれる自由を選んだんだ。

竹坂かほり
橋の下のギャルソン

ああ,
人間誰しも自由な者はいないのだ。
金銭 (かね) の奴隷になったり, 運, 不運に (もてあそ) ばれたり,
或いは世間一般の思惑や法律の条文に縛られて
思うとおりの行動をとることが許されない。

Ευριπιδης (エウリピデス)
’Εκάβη (ヘカベー) ll. 863 -- 867.

如何なる問題についても検討したり批判したりすることが禁ぜられる正にその瞬間から, その自由におかれた最初の制限はやがて完全な隷属へと到達せざるを得ない。

Marquis de Condorcet (コンドルセ)

とはいえ真っ正直なこと, 正しいことが害されるならば, 私はそれを決して
黙ったまま放置はしない。 女神アテーナーの市民達と
テーセウスの国に慈しみ育てられた
真実を口にする自由, これを守り続けることこそ大切である。

モスキオーン 「テーレポス」 断片 4

お前には, お前の選択も責任もあるだろう。 不幸になる自由ってのもあるんだぞ。 それが信頼ってもんじゃないか。

吉野朔実
いたいけな瞳 第六話
(つるばみ)

制服を拒否するという, 一見自由に見える行為も, 旗にして掲げてしまえば, 上げ続ける不自由を自分に課することになる。

吉野朔実
いたいけな瞳 第六話
(つるばみ)

自由になりたい
自由になりたい------
全てのことから
自由が欲しい けれど
自由ってなんだろう

李杏
月刊 LaLa (11), 1998, p. 462, 投稿

放埒に生きることが自由と思い違いをしている人間の姿ほど, 醜く愚かしいものはありません。

辻村ジュサブロー, 人形師
一語一会 --- あやまてる

人間は自由なものとして生まれた。 しかも至る所で鎖に繋がれている自分が他人の主人であると思っているようなものも, 実はその人々以上に奴隷なのだ。

J. J. Resseau (ルソー)
社会契約論

自由であるべきこれらの者達は, 唯一つ怠惰によってのみ奴隷になる。

フェルドゥスィー
王書
岡田恵美子訳
第 1 部 神話の王達の時代
第 4 章 ジャムシード王 (在位 700 年)
1 第 4 代 偉大なる統治の王
p. 27.

十代の頃, 私が憧れていたのは何といっても 「自由」 だ。 闇雲に憧れ, そのためなら何でもすると思っていたが, でも無論, 何をすればいいのか分からなかった。 何処に行けばそれが手に入るのか, どうしてそんなに欲しいのか, それどころか, 自由というのが実際何のことなのか, さえ, ちっとも分かっていなかった。
 分からなくても, 必要だったのだと思う。 自由が, ではなく, 自由に憧れることが。
 私は怠惰で消極的な子供だったが, 自由に関してだけは恐ろしく意欲的というか野心に満ちていた。 いつか絶対それを手に入れたいと思っていた。
 で, 気が付くと自由な場所にいた。 何かを手に入れたわけじゃない。 抑々初めからそこにいたのだ。 人は自由になるのではなく, 自由なのだ。 寧ろ, 自由からは逃げられない。
 大抵の人は努力して不自由を見つけ, そこに安心を感じたり, たまにハメをはずして自由を謳歌したり, 都合に合わせてやりくりしているのだ。
 自由はいつもそこにある。 私の個人的な感じでは, それは荒野に似ている。

江國香織, 作家, 1964--
自由---憧れ 必要だった
セレクト 5
中高生のためのブックサーフィン どくしょ応援団
朝日新聞, morning, Saturday, 28th August, 1999.

自由とは、まずは自分自身からの自由である。

ロレンス

自由を得た結果, 不自由を感じている。

福沢諭吉

社会環境はどんなに汚しても自由だ, ということになる。 だが, それは自由の根本を忘れたものだ。 個人の尊厳は, 本人にとっても守るべき最後のよりどころだ。 一人がプライドを捨て, ふてくされ, 開き直れば, 他人に伝染し, 世間が劣化する。
 暴言を吐いても, 腐敗が明らかになっても, 何も恥じない政治家, 官僚, 企業家を見れば, 社会はとっくに汚れきっている, と言うべきか。

曙光
社会を汚す自由
経済気象台
朝日新聞, evening, Monday, 24th July, 2000.

私はあなたが書くものが大嫌いだ。 しかし, あなたが書き続けるためには私は命をかける。

Voltaire (François Marie Arouet)
書簡
グッタマン編 「フランス引用句辞典」 1963, USA.

あなたを自由にするのは, あなたしかいない。 あなたを変えられるのは, あなたしかいない。

飯野賢治
ティーンズメール
家にいるのが辛いとき (4)
もうほっといて欲しいのに
朝日新聞, morning, Monday, 9th October, 2001.

人間の尊厳の基礎は人間の自由ということにある。

Viktor Emil Frankl (フランクル)
Der Unbewuße Gott (識られざる神)
7 精神療法と宗教
木村敏, 佐野利勝訳

(条件を) 決めない方がいい。 決めると心が不自由になる。

宇梶剛士
あっぱれさんま大先生
Sunday, 4th May, 2003.

島では何も考えなかったし, 君に言える教訓なんてない。 けれど, 自分の可能性に確信を持つようにはなった。 自分の周りに壁がある。 誰にだってある。 それは, 乗り越えようと思いさえすれば乗り越えられる。 自分に対して stop をかけられるのは, 自分だけ。 一番大事なこと。 それは自由であること。 自由でいようとする情熱を持ち続けることなんだ。

ダニー・ハザマ
ことばの旅人
朝日新聞 be on Saturday, 20th September, 2003.

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