シリーズ series

Monday, 20th August, 2001.

辞書を引くと 「シリーズ」 というのは 「連続, 組」, とか 「体裁, 傾向の似た一連のもの」 であるという。 TV ドラマや映画の何とかシリーズとか, 野球の日本シリーズとか, そういうやつ。 音楽のセリー série もフランス語なだけで同じ意味。 ドイツ語では Reihe, ロシア語では рял.

数学用語では 「級数」 という訳が当てられている。 あんまりいい訳じゃないねぇ。

級数は普通無限級数のことをいい, 無限級数とはある数列の極限の一種だ。 というわけで, 級数の説明をするのに, 三つほど用語の説明をしないといけない。

先ず第一に, 数列 sequence {an}, n = 1, 2, 3, ...... とは, 番号 n に対して an という数が確定するものをいう。 勿論 a は単なる識別票に過ぎないので, bn だろうが x(n) だろうが, 表現は何でもよい。 1000 番目の数は何 ? といわれたとき, 即答できなくても原理的に計算可能ならばよい。 例えば 10 進数で書いた円周率の小数第 n 桁 πn なんていうのでも n = 10000100000 の時は ? って訊かれても, とても答えられないけれども, 原理的には計算できるからかまわない。

数列 {an} が与えられているとき, その第 n 部分和 (n-th partial sum) sn を次のように決める。 これも数列の一種。

s1 = a1; sn = sn-1 + an, n = 2, 3, 4, ......

こういう帰納的定義 (再帰的定義) を書くと, 一般に評判が良くないので (笑), もう少し具体的に書くと

s1 = a1,
s2 = s1 + a2 = a1 + a2,
s3 = s2 + a3 = a1 + a2 + a3,
s4 = s3 + a4 = a1 + a2 + a3 + a4,
……………………………………
sn = sn-1 + an = a1 + a2 + a3 + a4 + …… + an = k=1nak.

つまり第 n 部分和とは, 数列 an を初項 (第 1 項) から第 n 項まで足したもの。 それでこれを最後まで (無限に) 足した結果っていうのが, 無限級数って事になっている。

S = limn→∞sn = k=1ak

つまりは S = a1 + a2 + a3 + a4 + …… の事だね。 S は本当は和 sum の略だけれど series の頭文字と一致している。

これが series と呼ばれるのは, an っていうのが 「似たもの」 で, それが + という記号で連なっているからじゃないかな ?

ついでにいっておくと, sn の方を有限級数ということもある。


思い出したので, ついでに書いておくと, 電気の方で 「直列接続」 というのがあったはずだ。 この 「直列」 は実は series のことである。 確かに連なっているよね。 これに対して 「並列接続」 の 「並列」 は parallel つまり 「平行」 だ。 確かに平行になっている --- 勿論繋ぎ方さえ並列ならば部品は平行じゃなくても並列にはなるんだけれど (笑)。

そう考えると, 直列接続, 並列接続と言わないで, 連続接続, 平行接続といえば, もう少し分かり易かったのかもしれない。 今更言ってもしょうがないけれど。


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