黒瀬恵
Johann Sebastian Bach (1685 -- 1750)
Prelude in Es-dur, BWV 552-1.
Nun komm der Heiden Heiland (いざ来ませ, 異邦人の救い主よ,
オルゲルビューヒライン Orgelbüchlein の第一曲目) BWV 599.
Herr Christ, der einge Gottes-Sohn (主キリスト, 神のひとり子, 同第
3 曲目), BWV 601.
Lob sei dem allmächtigen Gott (全能の神に賛美あれ, 同第 4
曲目), BWV 602.
Pastorale, in F-dur, BWV 590.
Der Tag, der ist so freudenreich (この日こそ喜び溢れ, Orgelbüchlein
の第 7 曲目), BWV 605.
In dulci jubilo (甘き喜びのうちに, 同第 10 曲目), BWV 608.
Jesu, meine Freude (イエスよ, 我が喜び, 同第 12 曲目), BWV 610.
Fuge in Es-dur, BWV 552-2.
演奏者によるプログラム・ノート (に筆者が若干手を入れたもの)
J. S. Bach (1675 -- 1750) は, 「クラヴィーア練習曲集第三部 Dritter Teil der Clavier-Übung」 を 1739 年に出版しています。 この曲集は, 21 曲のコラール (ドイツの賛美歌 Choralbearbeitungen) と 4 曲のデュエットを囲むようにして 「前奏曲 Prelude」 と 「フーガ Fuge」 が前後に配置されています。 今日は 「前奏曲」 と 「フーガ」 の間に, クリスマスにちなんだ曲を入れて演奏します。
<前奏曲 変ホ長調 (BWV 552-1)>
フランス風の付点音符が特徴的な壮大な構成を持ったこの前奏曲は,
三つのテーマを持っており,
調性もフラットが三つで作曲されています。 このように
Bach が 「三」 にこだわるのは, 三位一体 (父・子・聖霊)
の特徴のためと考えられています。
次の三曲は 「オルガン小曲集 Orgelbüchlein BWV 599 -- 644」
の中に含まれる待降節 (Advent
(クリスマス前の日曜を四日含む期間, 約四週間で,
キリストの降誕を祝うために準備する時, 因みに 2001 年は
12/2 (日) から 12/24 の昼間まで) のコラールです。
<いざ来ませ, 異邦人の救い主よ (BWV 599)> は, ミラノの A.
アンブロシウス大司教が作詞したものを M. ルター (1483 --
1546) がドイツ語に翻訳し,
今日もドイツで良く歌われているコラールです。
<主キリスト, 神のひとり子 (BWV 601)> は, ペダルに現れる
「至福のリズム (分散和音)」 が特色の曲です。 <
全能の神に賛美あれ (BWV 602)> は, pedal
に下降する音階が出て来ます。 これは,
神がキリストを私達のもとに天から降だしたもうたことの象徴
(Figura) だと言われています。
<パストラーレ ヘ長調 (田園風) (BWV 590)> は, Bach
がイタリア音楽の影響を受けて作曲した曲です。
古いイタリア音楽です。 シシリア風の舞曲を含む,
特徴を持った四つの楽章から成っています。
続く三曲は 「オルガン小曲集」
の中に含まれるクリスマスのコラールです。
<この日こそ喜び溢れ (BWV 605)> は内声的に
「喜びを表すリズム」 が用いられています。
<甘き喜びの内に (BWV 608)> は,
ソプラノ声部とテノール声部がカノンになっています。
<イエスよ, 我が喜び (BWV 608)> は,
コラールの歌詞から考えるとクリスマスのコラールではないのですが,
「キリストへの愛」 を示すために Bach
はクリスマスのコラールとしてこの曲集に採用しています。
<フーガ 変ホ長調 (BWV 522-2)>
このフーガもそれぞれに三つの部分から出来ており,
調性もフラットが三つ,
つまり変ホ長調で作曲されています。 第一の theme
は合唱のような声楽の性質を持ち, 第二の theme は第一,
第二の themes と結合されて華やかに終わります。
この日は chat room で直接お誘いを受けたので, 川口まで出掛けていくことにした。 川口どころか埼玉県に進出するのは多分これが初めて。 川口の改札を出たはいいが, いきなり出口を間違えてしまう (笑)。
手帳は持って行ったのだが, 筆記具を忘れてしまったので, メモが採れず, 記録は簡単に。
リリアホールは中規模のホールで, org. がやや高い位置にある。 私は V-11 という席に座る。 無料だという所為か冬休みの所為か子供がやや多い。 Org. の音が大きいからいいようなものの, しゃべっている人が若干名いる。 更に途中席を替わる人 --- 何故か後ろの方から前の方 (5, 6 列目当たり) に移動する人, 途中で入場する人多数。 途中退出した人一名。 もう一寸 manner が何とかならないだろうか。
曲目は少なくとも二転している。 チラシに載っているのと違う曲 --- Beethoven: Missa Solemnis in D-dur, op. 123 をやるというのを一度 chat で聞いたのだが, どういう事情か Bach になった。 Bach の方が私の好みだから良い (笑)。
と書いたら, それは勘違いであると, 当人から指摘を受けた。 それは別の日のコンサートのことだったらしい。 それってどれだったのだろう ? 演奏家も忙しくて大変そうである。
演奏が始まってから気付いたが, このホールのオルガンは, 足鍵盤が水平についているのではなく, scale の方向に弓形に湾曲している。 やはりこういう方が演奏しやすいのかと思ったりした。
所謂 「ドイツ・オルガン・ミサ Orgelmesse」 を模して, BWV 552 の Prelude und Fuge の間にコラール 6 曲とパストラール 1 曲を挟んだ演奏だが, 概ねその意図は成功したように思われる。
さて, どの曲だったか忘れたが, ある stop を用いた曲の時, どれか二管だけ, どこかに共振を起こしており一寸耳障りだった。 つるしてある照明か何かに共振していたようである。 それ以外は迫力ある壮大な prelude と Fuge に挟まれて, かわいらしい曲や, 荘厳な曲などが巧みに配置されていた。 25 分ほど演奏して若干疲れが見られミスタッチがあったようである。
一寸だけ言っておくと, この前もそうだったが, 演奏が終わってからどうも申し訳なさそうと言うか自信なさげな挨拶をするのだけれど, もっと堂々とお辞儀をしたらいいと思う。
この日は雪の予報で傘を用意していったのだが, 結局家の雪は降らず, 家の近くまで来たときに雨が降った程度であった。