Auferstehung

Sunday, 3rd October, 2004.
サントリーホール
15:00 -- 16:45


盛田昭夫メモリアルコンサート

Gustav Mahler (マーラー, 1860 -- 1911)

Symphonie Nr. 2 in c-moll. »Auferstehung«
(交響曲第二番 「復活」)

1st Mvt. Allegro maestoso. Mit durchaus erusten und feierlichem Ausdruck (大変真面目に, 厳かな表現で).
2nd Mvt. Andante moderato. Sehr gemächlich (大変のんびりと, 急がずに).
3rd Mvt. In ruhig fließender Bewegung (静かに流れるように揺り動かして)
4th Mvt. "Urlicht" aus "Des Knaben Wunderhorn". Sehr feierlich, aber schlicht. (Chralmäßig) (「元初の光 」 「子供の不思議な角笛」 から。 非常に荘厳に, しかし素朴に (コラール風に))
5th Mvt. Im Tempo des Scherzos. Wild herausfahrend - Langsam - Allegro energico - Langsam. (スケルツォのテンポで。 荒々しく - ゆっくりと - 速く精力的に - ゆっくりと)

Diana Damrau (ディアナ・ダムロウ), S
藤村実穂子, Ms

合唱指揮: 関屋晋
合唱: 晋友会合唱団

Zubin Mehta (ズービン・メータ)
スーパーワールドオーケストラ


S.T. Japan の宣伝文句:

遂にメータがスーパーワールドオーケストラの指揮台に立ちます。
しかもマーラーの 「復活」 というスーパーワールドオーケストラの実力を最大に発揮出来る大曲です。
初来日のディアナ・ダムロウと藤村実穂子は, いずれもメータの人選によるものでこの大曲に最適のキャスティング, しかも合唱は復活を得意レパートリーとする晋友会です。 このサントリーホール一日限りのコンサートは絶対に見逃せないプラチナチケットとなるでしょう。

同所から SWO について:

これまでにロリン・マゼール, ベルナルト・ハイティンク, ジャン・フルネ, ヤーヤー・リン, ディルク・ブロッセ, 山本直純, ミッコ・フランク, ステファン・ザンデルリンクの各氏を迎え, 各指揮者の要求する音楽に即座に反応してそれぞれのコンサートを成功させてきました。 これは全員が常に一流の指揮者と共同で音楽を作り上げているトップランクのオーケストラメンバーだからこそ可能であります。 つまり一人ひとりの非常に高いテクニックと豊富な経験が基本にあるからこそ, 重厚で澄み切った響きを作り上げ, 指揮者の要求と演奏曲目に合わせた豊な音楽を披露できるのです。 このような頂点に立つメンバーが集まるからこそ 「よくある臨時編成されたフェスティバルオーケストラとは全く異なり, 非常に高水準なオーケストラである」 と評されていると考えます。

Thursday, 22nd April の朝刊の広告に, これが出ていたので, これだ! と思った私は, 早速翌日の Friday, 23rd April の一般発売日に ticket 取りをした。 1F 15-28. 席は最高。 今からとても楽しみだ。


4th Mvt. Urlicht

[Alt]
O Röschen rot!
Der Mensch liegt in größter Not!
Der Mensch liegt in größter Pein!
Je lieber möcht' ich im Himmel sein!

Da kam ich auf einen breiten Weg:
Da kam ein Engelein und wollt' mich abweisen.
Ach nein! Ich ließ mich nicht abweisen.
Ich bin von Gott und will wieder zu Gott!
Der liebe Gott wird mir ein Lichtchen geben,
wird leuchten mir bis an das ewig selig Leben!

Des Knaben Wunderhorn

第四楽章 元初の光

[アルト]
ああ 小さな赤き薔薇よ!
人は大いなる苦難の中にある!
人は大いなる苦痛の中にある!
天にいられれば良かったものを!

その時私は幅広き道にやって来た:
その時小さな天使がやって来て拒否しようとした。
ああ 何と! 私を拒絶しないで。
私は神の前にあり, 神の下に戻りたいのだ!
愛する神は私に小さな光を与え,
永遠の至福の生迄照らされようとなさる!

子供の不思議な角笛
(第 12 番による)

5th Mvt. Finale

[Chor und Sopran]
Auferstehn, ja auferstehn wirst du,
mein Staub, nach kurzer Ruh!
Unsterblich Leben
will der dich rief dir geben.

Wieder aufzublühn wirst du gesät!
Der Herr der Ernte geht
und sammelt Garben
uns ein, die starben!

[Alt]
O gluabe, mein Herz, o glaube,
es geht dir nichts verloren!
Dein ist, was du gesehnt,
dein was du geliebt,
was du gestritten!

[Sopran]
Oglaube,
du warst nicht umsonst geboren!
Hast nicht umsonst gelebt,
gelitten!

[Chor]
Was entstanden ist,
das muß vergehen!
Was vergangen, auferstehen!
Hör auf zu beben!
Bereite dich zu leben!

[Sopran und Alt, Chor]
O Schmerz! Du Alldurchdringer!
Dir bin ich entrungen!
O Tod! du allbezwinger!
Nun bist du bezwungen!

Mit Flügeln, die ich mir errungen,
in heißem Liebesstreben,
werd ich entschweben
zum Licht, zu dem kein Aug gedrungen!

[Chor]
Sterben werd' ich, um zu leben!

[Alle]
Auferstehn wirst du
mein Herz, in einem Nu!
Was du geschlagen
zu Gott wird es dich tragen!

Klopstock; Mahler.

第五楽章 (終結)

[合唱とソプラノ]
甦れ, そうだ甦るのだ,
我が塵よ, わずかな休息の後に!
不滅の命は
汝が 「あなた」 と呼ぶ人が与える。

再び花開く様にあなたが種まいたのだ!
収穫の主は束にして収穫しに
お行きになる, 我等死すべき者を!

[アルト]
ああ 信じよ, 我が心よ, ああ 信じるのだ,
見捨てられることはないと!
汝のものは, 汝が見たもの
汝が愛したもの,
汝が争ったものだ!

[ソプラノ]
ああ 信じよ,
汝が徒に生まれたのではないと!
徒に生きて,
苦しんでいるのではないと!

[合唱]
創られたものは,
消えていかねばならぬものだ!
行くものは, 甦るものだ!
震えるのはやめよ!
生きる備えをなせ!

[ソプラノとアルト, 合唱]
ああ 苦しい! 万物に浸透するあなたよ!
あなたから私は無理に引き離されたのだ!
おお 死よ! 万物の征服者よ!
今やあなたが征服されたのだ!

私が戦い取った翼をもって
熱き愛の支えの中で
私は漂って消えていこう
どのような眼にも達することのない光の方へと!

[合唱]
私は死のう, 生きる為に!

[全員]
あなたは甦るだろう
我が心よ, たちまちの内に!
あなたが打ち倒すものは
あなたを神のもとへと運ぶだろう!

クロップシュトック; マーラー

注:
・塵 (Staub): アダムは塵から創られたと旧約聖書創世記にある。
・わずかな休息 (kurzer Ruh): 甦りの後は永遠であるから。
・汝が 「あなた」 と呼ぶ人 (der dich rief dir): ドイツでは神を近称 (du) で呼ぶ。
・熱き愛の支え (heißem Liebesstreben): 英訳は the fervent struggle of love (愛の熱い戦い), 仏訳は un brûlant élan d'amour (愛の燃えるような情熱)。 独語の die Strebe (den Streben は pl. Dat.) は (1) 控え; 支承; 桁 (2) 市中, 支え である。
・どのような眼にも達することのない光 (zum Licht, zu dem kein Aug gedrungen): 英訳は to the light whither no eye pierced (どんな目も貫き通すことのない光), 仏訳は vers la lumière que nul regard n'a pénétrée (どのような眼差しも浸透することのない光)。 独語の dringen (gedrungen はその pp.) は (1) 無理に通る, 突き進む; ほとばしり出る, 飛び出す; 押し迫る, 達する; 突き抜ける, 押し [分けて] 通る; 押し入る, 突入する, 突き刺さる (2) [しつこく・無理に] 迫る, 促す, 強いる (3) あくまで言い張る, 何処までも要求する なのだが, Das Gerücht drang bis zu ihm (その噂は彼の耳にまで達した) という例文があったので 「達する」 という訳を当てた。 zu Herzen dringen (心にこたえる) という例文もあるので, 「眼にこたえることのない」 というのも考えたが, 意味が通りにくいようである。
・あなたを神のもとへと運ぶだろう (zu Gott wird es dich tragen): 英訳は will carry you to God, 仏訳は te porteront vers Dieu.
・クロップシュトック, Friedrich Gottlieb Klopstock, 1724--1803 ドイツの詩人。

Saturday, 24th April, 2004.


朝から雨。 結構降っている。 雨の日のサントリーホールは初めてである。 雨の所為か電車は空いている。 開場五分前くらいにホール前に着く。 かなりの人が傘を置いて廂の所に溜っている。 良く見るとデパートなんかと同じようなビニールの傘袋も置いてある。 嫌な予感。 Program は \1000. 作りはいいが, 白黒の割りには一寸高い気がする。 他のと一緒になっている上に, 普通あるだろうと思っていた 「復活」 の歌詞対訳もない。 ホールに入ってみると字幕もない。 一寸サービス悪すぎないか? そういえば organist の名前も何処にも書いてない。 晋友会合唱団付きの人?
Org. は鏡ではなくてモニターを使っている。 以前 new year concert で 「オルガン付」 を聴いたのだが, その時はもっと前の席だったのと, そんな事に注意を払っていなかったので, 気付いていなかった。
多分 (実際そうだったが) 休憩はないだろうと思ってトイレに行く。 雨が結構降っていた所為か, トイレの中で着替えている人がいて一寸びっくり。 まあ鑑賞には関係ないのでこれはいい。 前の方の席に, 外国人テナー歌手のような人を発見。 だが, この人, と言えないので, 誰だったかなあと思うだけ (全然関係ないかもしれないし)。
なかなか始まらないなあと思っていると, 15:10 にチャイム。 合唱団入場。 下手が女声, 上手が男声。 何故か女声の方が一列分多い。
15:12 オケが入場。 下手から 1st vn, vc (その後ろに CB), va, 2nd vn という欧州型。 最近これが流行りなのか。 15:15 tuning.

15:38 soloists 登場。

1st Mvt のあと, 少なくとも五分の休みを取るようにと指示があるとのことだが, 勿論休憩梨。

3rd Mvt は 「子供の不思議な角笛」 の第六曲 「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」 を元にした楽章だそうである。

曲は 16:37 終了。 拍手が鳴り止むのは 16:45.

パート毎には揃っていたが, 部分的に弦と管で揃わないところが二, 三箇所あり。 ホルンが一回変な音を出したが, 全体的には良い演奏だった。 俄造りのオケの筈なのにこれだけ出来れば十分では。 低弦の鋭い音や, vn の柔らかい音の対比, 管の鋭い音, fl の柔らかい音など素敵。 S. & MS 秀逸。 元々藤村実穂子が出るというので, この ticket をとったようなものだ。

今回も聴衆の問題が多数散見した。
特に一階後方中央付近が問題多し (招待客?)。 特に二人。 一人は傘の袋をガサガサやっていた (この人は 16 列)。 もう一人は三楽章の途中で双眼鏡を落として大きな音を立てた (この人は 15 列)。
それから最近の客は, なんでわざわざ pp の時に咳払いをしたり, ガサガサ音を立てたりするのだろう。 ついさっきオケが ff で大音量を出していたじゃないか。 どうせならそういうときにしろよ, などと思う。
最後の拍手は一寸早かった。
まあ, この辺は最近良くあることなので我慢もしよう。 一番許せないのは, この曲の一番の聞きどころである第四楽章の冒頭, 第三楽章との曲間で咳払いをする人が多数いたことだ。
この曲は何と言っても, ここで沈黙の中から mezzo soprano (の声) が静かに立ち上がって来て “O Röschen rot!” と歌い出すところが一番良い所なのである。 プログラムにも高橋克典が 「第四楽章の冒頭, アルト独唱が 『おお紅い薔薇よ』 と歌い出すと, 私はいつも美しい異次元の世界へと誘われ, 心を奪われてしまう」 と書いているくらい, 一番の聴き所なのであるが, なんでこんなところで咳払いをするのだ。 もしここで咳払いしていいんだったら, どうして第二楽章が終わったところで soloists が入場してくるとか, 藤村さんが第三楽章の終わり頃になって楽譜 (?) を席に置いて立ち上がったのかとかそういうことを考えないのだろうか? 一寸考えれば, この曲を全く聴いたことのない人だって, そのくらいは分かるはずだ。
メゾの藤村さんもなかなか歌い出せなくて困惑していた様子であった。
前回の verisomo でも, 「ママも知るとおり」 とか (こっちは私ではなくて 2ch に書いてあったのだが) 「仮面を着けろ (衣装を着けろだっけ?)」 のときにわざわざ音を立てる客がいた (そうだ)。 一体こういう人は何を聴きに来ているのだろう。
いっそのこと字幕をつけて 「ここが一番の聴きどころです。 お静かに」 みたいなのを出さないと駄目なのか。 全く, かつて世界一お行儀のいい聴衆と世界中から褒め称えられた日本の聴衆は何処へ行ってしまったのか?


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