すうぷ

Monday, 30th December, 2002.


PARCO 出版の本で 「すうぷ屋のすうぷ」 というのを新聞広告で見つけた。 これは 1985 年に渋谷に open した soup の店の本らしい。

数学教室ではかなり頻繁にスープをとっている。 大学一年生向けの解析 (微分積分) ではどうか分からないが, 二年生くらいの解析だとかなり屡々 「スープをとると...」 と教授が言っているはずだ。 勿論昆布や鶏がらでスープをとるわけではない。

数学教室で言われるこのスープ (数学屋のすうぷ) は soup ではなくて sup (=supremum の略) で上限と訳されている。 上限とは大雑把に言うと最大値もどきである。 例えば y = -x2 は, x が実数だと y ≦ 0 という性質を満たすので, 0 が最大値だが, y = -1/2x では, x が実数であっても y < 0 を満たすだけで, y = 0 にはならないので最大値は存在しない。 中学, 高校生くらいだと後者の方でも 「最大値は 0」 と言い張る人がいるが, これは誤りである。 誤りであるが, 何となくそういいたい気持ちは分からないではない。 そこでこういうときもなんか最大値のようなことを言えるようにしたのが上限で, y = -1/2x の上限は 0 と言うことが出来る。 こういうとき数学教室では 「y の sup (スープ) をとると 0」 などと言われるわけである。 勿論諸外国では supremum とちゃんと発音するのであろう (the least upper bound 最小上界という言い方もある。 略すと lub だが, 「ラブ」 と発音するかどうかは不明)。 又, 最大値というときは +∞ ということは許されないが, sup y = +∞ ということはありうる。

最大の反対は最小であることは良く知られているのだが, sup の反対は inf (=infimum) であって, 「インフ」 という言葉は一般にはあんまり知られていないばかりか, 日本語として日常語には表れそうにないので, このコーナーには登場しそうにない。 一寸残念。


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