皆川真里奈 2nd Violin Recital

Friday,24th October, 2003.
アトリエ・ムジカ (代々木)
19:00 -- 20:42


A. Piazzolla (ピアソラ): Oblibion (オブリビオン, 忘却)
G. F. Haendel (ヘンデル): Sonata für Violine und bezifferten Baß Nr. 4. (ヴァイオリンとチェンバロの為のソナタ Nr. 4.)
正門 (まさかど) 憲也: 遊戯 No. 9. (Play No. 9)
皆川真里奈, 稲崎舞, 徳永洋明 (ひろあき) 編: MUSIC COCKTAILS 〜AMAZING OF THE WORLD〜
E. Granados (グラナードス), (F. Kreisler (クライスラー) 編曲): Danzas espanolas op. 37-5. (スペイン舞曲〜アンダルーサ)
I. Albeniz (アルベニス): Tango (タンゴ)
P. Sarasate (サラサーテ): Zigeunerweisen (チゴイネルワイゼン)

皆川 (みなかわ) 真里奈, vn.
徳永洋明, pfte.


クラ音 chat で知り合って, Monday, 22nd September, 2003 のミニオフ会で初めてお会いした, 皆川真里奈さんの vn ricital. April に大倉山で行われた first ricital は一寸用事があって行けなかった。 今回は代々木駅近くの中沢ビル BF のアトリエ・ムジカでの recital である。

Ticket は彼女の site から mail を出して申し込んだのだが, その時の mail (Wed, 15 Oct 2003 つまり 9 日前) には

先週の段階では「絶対間に合わない」くらいな危機感で
いたのですが(爆
なんとか準備が間に合いそうな気配が香ってきました(w;
これから一生懸命追い上げます。

などとあって, 不安を誘う (笑)。

当日は晴れ。 前日がとても暖かかったので, 寒く感じる。 Xenakis Ensemble に続けて行ったので疲労が回復していない。 朝からドリンク剤を飲んで, 演奏中に寝てしまわないように気をつける。 夜になって益々冷え込んだ。

アトリエ・ムジカについたのは 6:28. アトリエというだけあって, いくつかの風景画が飾ってある (緑色が基調の絵 ?)。 代々木駅前で一寸方向を間違えそうになる。 到着したとき丁度オフ会でお会いした I 氏も到着。 座席は 89 (多分)。8 列あって, 左側は全て 6 席で, 右側は柱があるなで種々の条件があって, 前から 3×2 + 3 + 5 + 6×2 + 7×2 という感じ。 9 割方は埋まっていたと思われる。

19:07 登場。 Pink のドレスを纏っている。

1. Oblibion:

スローテンポの曲。 最初 pfte の伴奏もやや遠慮がち。 中盤盛り上がってからが良い。

MC: 大学一年生の時の文化祭のオケに参加した際に知った曲だそうだ。 何を 「忘却」 するのかといえば, 辛かった恋愛や, 現実など---というと, 弾く (聴く ?) のを忘却しちゃいけないと, 徳永氏より突っ込みが入る。

2. ヴァイオリンソナタ Nr. 4.

原語 title 中の "bezifferten Baß" の beziffert とは "番号付き", "数字付き" ということで, 炎のコンティヌオ氏が詳しいと思うが, 実は 「通奏低音」 のことである。 何故通奏低音が "bezifferten Baß" 即ち 「数字付き低音」 なのかというと, 楽譜がそうなっているからである。

Haendel の vn sonata は全部で六曲あるが, うち四曲は偽作らしい。 この四番は, 唯一自筆譜があり, 最も有名である。 演奏は古楽風にしたらしいが, 普段から Bach を聞き慣れていると違和感はない。

3rd Mvt の Larghetto がいい。 だけど pfte はペダルを使うべきじゃないんじゃないかと思う。 4th Mvt へは attacca じゃなくていいのだろうか?

7:29 一寸楽譜取り?
MC: 作曲者の正門 (マサカドン) 氏は皆川嬢の高校三年の時の担任だそうである。後ろの方に座っていた。 (number きゅうって言ったのが一寸笑えた。) 作曲者というものは神様に近いと思っていて, その 「神様」 の前で弾くのは 「なんまいだぶ」 という感じだそうだ (それは仏様だ, と密かに突っ込み)

3. 遊戯 No. 9.

No. 9 というくらいだからあと 8 曲はあるのであろう。 vn と pfte の掛け合いというかおっかけっこというか, を楽しむ曲。 一寸ロンドっぽい? 協和音終止なのが一寸不満。

《15 分休憩》 (19:40 -- 55)

MC: 世界平和記念コンサートで 「出演者全員がアメイジンググレイスを」 という課題で作ったものだそうだ。何れも  「アメイジンググレイス」 が主題に取られている。 酒宴でも弾けるくらいの砕けた感じで付けた title という事。 編曲者のうちの一人の稲崎氏は桐朋の先輩だという。

4. MUSIC COCKTAILS (20:00--)

i) スコッチウイスキー (バグパイプ風)

調弦を DG に (scordatura) してダブルストップで solo で演奏。

MC: 徳永氏は焼酎, 皆川嬢はウオッカが好みだとか。

ii) マンハッタン (ジャズ風)
iii) 春暁 (この字で良いかどうか不明) 「春の海」 を含む。
iv) パリジャン Satie のジムノペディー No. 1.
v) ジプシー (ウオッカベース) 一部日本の子守歌調。 モンティーの Csárdás (チャルダーシュ) を基盤に。

MC (20:09): 次の二曲は原曲が pfte 独奏のものを vn 曲に編曲したもの。

5. Danzas espanolas.

大変良かった。 ところで作曲者の Granados は乗っていた船が沈没した所為で死亡したそうである。

6. Tango (20:15--)

これは軽い曲。

Zigeunerweisen の出だし 「ソドレミ」 は実は曲の冒頭として多いという話。

7. Zigeunerweisen (20:22--)

やっぱり難しい曲なんだなぁと痛感。

アンコール (20:31--):

8. G. Fauré (フォーレ): Après un rêve (夢のあとに) op. 7-1 (ca 1865) (-- 20:37)

お恥ずかしい話ではあるが, 私はこれが歌曲が原曲であるとは知らなかった。 演奏に先立って, その詩の日本語訳 (文語) が朗読された。 (しかし 「 () よ」 の読み方が間違っていたのはご愛敬。) 安定した演奏だった。 読まれた歌詞とは違うが, ここに歌詞がある。

9. A. Piazzolla (ピアソラ): リベルタンゴ (-- 20:42)

大変楽しめた。

皆川嬢はしきりと 「音楽の世界は狭い」 と言っていたが, 実は, 近藤譲氏が私の知り合いの知り合いであることがこの前判明した (と言っても直接知らないので, お互い全然知らないことに変わりはないのだが)。 間に挟まっているのが音楽関係じゃなくて, 芸術関係なのが不思議なところである。

終演後, 花束が二束贈呈された。

家に帰ってみると, ストーブが焚かれていた。


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