ではいよいよ問題の Euler の公式
eπi = -1 を証明していこう。より一般に
eix = cos x + i sin x
の形で証明する。この式で x =
π (この場合右辺では 180度と思えば良い) とすれば必要な結果が得られる。勿論
sin x = Σn = 0∞ (-1)nx2n+1/(2n + 1)!
cos x = Σn = 0∞ (-1)nx2n/(2n)!
ex = Σn = 0∞ xn/n!
を使う。
さて eix = Σn = 0∞ (ix)n/n!
であるが, i = (-1)1/2 が虚数単位 i の定義だから,
要するに i2 = -1
ということが起こる。ということは, x の冪指数 n
が奇数のときと偶数のときとでは状況が違うわけだ。そこで奇数部分と偶数部分に最初に分けてしまおう。
(無限級数に詳しい人は勿論ここでそんなことをしていいのか
? という疑問を感じるはずである。
奇数部分と偶数部分に分けてしまうということは無限に多くの項を入れ替えているからで,
そんなことをすると収束しなくなったり,
違う値に収束してしまうことがあるからだ --- そういう場合を条件収束という。ところが解析函数の
Taylor
展開から作った冪級数は収束半径内 --- 収束円内 --- で絶対一様収束という非常に良い性質を持った収束をする。従って大抵のことをやっても収束するし,
値も変わらないことが知られている。)
eix = Σn = 0∞ (ix)n/n!
= Σn = 0∞ [(ix)2n/(2n)! + (ix)2n+1/(2n+1)!]
= Σn = 0∞ (ix)2n/(2n)! + Σn = 0∞ (ix)2n+1/(2n+1)!
= Σn = 0∞ (-1)nx2n/(2n)! + Σn = 0∞
(-1)nix2n+1/(2n+1)!
= Σn = 0∞ (-1)nx2n/(2n)! + i Σn = 0∞
(-1)nx2n+1/(2n+1)!
= cos x + i sin x ■
この公式から de Moivre の公式
(cos x + i sin x)n = cos nx + i sin nx, n は整数
は当然であることも分かる。
さて, 応用として, Euler の公式 (一般形の方) の使い方を述べておこう。
公式から明らかに
e-ix = cos(-x) + i sin(-x) = cos x - i sin x
であるから, 元の式と辺々加えて 2 で割ると
cos x = (eix + e-ix)/2
同様にして
sin x = (eix - e-ix)/(2i)
を得る。
又更に一般に z = x + iy (x, y は実数) のとき
ez = ex + iy = exeiy = ex(cos
y + i sin y)
が成り立つので, 対数函数 w = log z
はこれから逆算すればよい。一般の指数函数については対数の定義
y = ax ⇔ loga y = x
の x のところに代入して y = alog_a y (但し log_a y = loga
y) を使って
az = ez log a
を用いる。
それでは私が高校 1 年生の時に思いついて, 3 年の卒業間近になるまで (この公式を知らなかったため) 解けなかった問題を考えてもらおう。
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