正確に言うと, 「街で見かけた」のはメビウスの帯という「用語」ではなくって, メビウスの帯そのものである (^_^;。
横浜市には「関内ホール」という, 比較的新しい (って言っても県立音楽堂と県民ホールと比較してって言うだけの話だが) ホールがあるのだが, それの南側のところに, 写真のようなオブジェがある。
前々から気になっていたのだが, 今回写真を撮るに当たって良く見てみると, Marta Pan (マルタ・パン) 氏の 「平和 II」 (PEACE II) という 1986 年の作品だそうである。(写真を click すると大きな画像が見られます)
Monday, July 17, 2000 17:58 頃。Olympus CAMEDIA C-990 ZOOM にて撮影 (画質 SQ)。順に正面, 右, 背面, 左側から撮影。2 枚目のみ flash 使用。
メビウスというのは数学者 Augustus Ferdinand Möbius (1790--1868) のことであるが, メビウスの帯の作り方は良く知られているように, 紙の帯を一回 (という意味は 180゜という意味だが) ひねって貼り付けると得られる。
一応方程式で書くことも出来て, a, b を定数とし, |r| < b,
0 < b < a とするとき
x = (a - r sin(θ/2)) cos θ,
y = (a - r sin(θ/2)) sin θ,
z = r cos(θ/2)
となるのだそうである。私は確認してないが, Mathematica 等の
tool が使える人は実際に描いてみて下さい。
http://www.math.uncc.edu/~droyster/courses/fall01/classnotes/Lecture13.pdf には, Mathematica で描いた画像と共に, その時の式が書いてある (11 ページ目)。 式だけ勝手に引用させてもらうと
moebius := plot3d([4+x*cos(1/2*y, y, x*sin(1/2*y)], x = 0Pi..Pi, y = -0..2*Pi, coords = cylinderical, grid = [25, 25], orientation = [42, 138], lightmodel = light2, shading = z, scaling = constrained)
である。(Monday, 31st March, 2003).
この曲面は端がある, 表と裏の区別がないという特徴がある。端というのを数学では「境界 boundary」と呼ぶ。表と裏の区別がないというのは二枚目の写真あたりで表面をなぞっていくと, いつのまにか裏側に出てしまうので分かると思うが, こういう風に表と裏の区別がないというのを数学では「向き付け不能 non orientable」という。だからメビウスの帯は「境界のない向き付け不能な曲面」であると言われるのである。
メビウスの帯の境界 (端) であるが, 指でなぞってみると実は一つの閉じた曲線であることが分かる。閉じた曲線というのはこの場合輪ゴムと同じような, 円周即ち円の端と同じ形である。
従って, 帯の真中を切ると二つの部分に切り離されないで, 一つのものになる (確か, 二回ひねって貼ったものと同じになるはずである)。これを不思議に思う人が多いようだが, 良く考えれば端がつながっているのだから, 切れる方がおかしいのである。
ここで問題:
R. ラドラム著 (山本光伸訳) メービウスの環, 新潮文庫が, 新聞で 「一月の新刊」 として紹介されていた。
Monday, 27th December, 2004.