TS3

Monday, 21st July, 2003.


トヨタ系列のトヨタファイナンス株式会社のクレジットカード TS3 (ティーエスキュービック) card. TV CM では古舘伊知郎が登場している。

数学用語 (記号かな ?) としての TS3 (こちらはティーエススリーと読まれることが多いようだ) は三次元球面 S3 の接束 tangent bundle である。 これの説明をするには三つの概念を説明しなければなるまい。

先ず最初は三次元球面である。 二次元球面 S2 は地球の表面の様なもので, R3 = {(x, y, z)| x, y, z ∈ R} の中で x2 + y2 + z2 = 1 と表される図形 (と位相同相なもの) である。 これを一次元あげて R4 = {(x, y, z, t)| x, y, z, t ∈ R} の中で x2 + y2 + z2 + t2 = 1 と表される図形 (と位相同相なもの) が三次元球面 S3 である。 S2 から北極を除いて引き伸ばすと平面 R2 と位相同相になる。 同様に S3 から一点を除いて引き伸ばすと三次元空間 R3 と位相同相になる。 又中身の詰まったドーナツ (solid torus とか呼ばれる) 二つの表面同士を貼り合わせると S3 と位相同相になることも知られている。

一般に地球のように各点の近所は地図で表されるが, 全体は一枚の地図では表せず, 何枚かの地図の貼り合わせで表すしかないようなもの, そしてそれで表せるようなものを多様体 manifold という。 この多様体というものでは各点 p でその多様体に接している空間が考えられる。 それを p に於ける M の接空間といい TpM と書く。

さて, この TpM を, M の全ての点 p に関して全部集めて来て纏めたものが接束 TM = ∪p∈MTpM である。 接束はファイバーバンドルの一種である (というか接束の一般化が fibre bundle なのだと思われる)。

つまり TS3 とは三次元球面 S3 の各点での接空間を一纏めにしたものだと考えられる。

もっと細かいことが知りたい人は 「多様体」 というのが title になっている専門書を読むこと。


最近つくばエクスプレス TX というのが開通した (Wednesday, 24th August, 2005)。

これも X が多様体の時, X の tangent bundle を表している。

Wednesday, 31st August, 2005.


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