エリア Oratoria "Elias" op. 70.

Sunday, 14th October, 2001.
サントリーホール
15:00 -- 17:40 

Felix Mendelssohn Bartholdy 1809 -- 1847

Elijah [Engl.], Elias [Deu.]
oratorio. 旧約聖書の預言者エリアの物語に基づく。
英語版初演は 1846 年 8 月 26 日 Birmingham.
ドイツ語版初演は 1847 年 10 月 Hamburg.


Bass I, Elias (エリア): Jan-Hendrik Rootering (ヤン-ヘンドリク・ロータリンク)
Soprano I, die Witwe, der Engel (寡婦と天使): Ruth Ziesak ルート・ツィーザク
Soprano II, die Enge, der Knabe (天使と若者): 天羽明惠
Alto I, die Königin, ein Engel (王妃と天使): Marjana Lipovšek (mezzo-soprano, マリアーナ・リポヴシェク)
Alto II, die Engel (天使): 坂口直子 (mezzo-soprano)
Tenor I, Obadjah (オバディヤ): Herbert Lippert (ヘルベルト・リッパート)
Tenor II, Ahab (アハブ): 櫻田 (まこと)
Bass II, die Engel (天使): 今尾滋 (bariton)
Boy Soprano I, II, III: 林麻衣子, 湯川潮音, 島崎加名 (東京少年少女合唱隊)

Chorus, das Volk, Propheten Baals (合唱, 民衆とバールの予言者達): 東京芸術大学音楽学部 (合唱指揮: 田中信明)

NHK 交響楽団

新山恵理, org.

Wolfgang Sawallisch (ヴォルフガンク・サヴァリッシュ)


粗筋を旧約聖書から見ておこう。 ---とか何とか言って殆ど全部書いてある (笑)。

列王記上 17 [預言者エリヤ, 干ばつを預言する]

1 ギレアドの住民である, ティシュベ人エリヤはアハブに言った。 「私の仕えているイスラエルの神, 主は生きておられる。 私が告げるまで, 数年の間, 露も降りず, 雨も降らないであろう。」
2 主の言葉がエリヤに臨んだ。
3 「ここを去り, 東に向かい, ヨルダンの東にあるケリトの川のほとりに身を隠せ。
4 その川の水を飲むが良い。 私は烏に命じて, そこであなたを養わせる。」
5 エリヤは主が言われたように直ちに行動し, ヨルダンの東にあるケリトの川のほとりに行き, そこにとどまった。
6 数羽の烏が彼に, 朝, パンと肉を, 又夕べにも, パンと肉を運んできた。 水はその川から飲んだ。
7 暫く経って, その川も涸れてしまった。 雨がこの地方に降らなかったからである。

8 又主の言葉がエリヤに臨んだ。
9 「立ってシドンのサレプタに行き, そこに住め。 私は一人のやもめに命じて, そこであなたを養わせる。」
(中略)

17 その後, この家の女主人である彼女の息子が病気にかかった。 病状は非常に重く, ついに息を引き取った。(中略)
20 彼は主に向かって祈った。 「主よ, 我が神よ, あなたは, 私が身を寄せているこのやもめにさえ災いをもたらし, その息子の命をお取りになるのですか。」
21 彼は子供の上に三度身を重ねてから, 又主に向かって祈った。 「主よ, 我が神よ, この子の命を元に返してください。」
22 主は, エリヤの声に耳を傾け, その子の命を元にお返しになった。 子供は生き返った。 (24 節まで後略)

同 18 [エリヤとバアルの預言者]

1 多くの日を重ねて三年目のこと, 主の言葉がエリヤに臨んだ。 「行って, アハブの前に姿を現せ。 私はこの地の表に雨を降らせる。」
2 エリヤはアハブの前に姿を表す為に出掛けた。

サマリアはひどい飢饉に襲われていた。
(中略)
17 アハブはエリヤを見ると, 「お前か, イスラエルを煩わす者よ」 といった。
18 エリヤは言った。 「私ではなく, 主の戒めを捨て, バアルに従っているあなたとあなたの父の家こそ, イスラエルを煩わしている。
19 今イスラエルの全ての人々を, イゼベルの食卓に着く 450 人のバアルの預言者, 400 人のアシュラの預言者と共にカルメル山に集め, 私の前に出そろうように使いを送っていただきたい。」

20 アハブはイスラエルの全ての人々に使いを送り, 預言者たちをカルメル山に集めた。
21 エリヤは全ての民に近付いて言った。 「あなたたちは, いつまでどっちつかずに迷っているのか。もし主が神であるなら, 主に従え, もしバアルが神であるなら, バアルに従え。」 民は一言も答えなかった。
22 エリヤは更に民に向かって言った。 「私は唯一人, 主の預言者として残った。バアルの預言者は 450 人もいる。
23 我々に二頭の雄牛を用意してもらいたい。 彼等に一頭の雄牛を選ばせて, 裂いて (たきぎ) の上に載せ, 火をつけずにおかせなさい。 私も一頭の雄牛を同じようにして, 薪の上に載せ, 火をつけずにおく。
24 そこであなたたちはあなたたちの神の名を呼び, 私は主の御名を呼ぶことにしよう。火を持って答える神こそ神であるはずだ。」 民は皆, 「それがいい」 と答えた。

25 エリヤはバアルの預言者たちに言った。 「あなたたちは大勢だから, 先ずあなたたちが一頭の雄牛を選んで準備し, あなたたちの神の名を呼びなさい。 火をつけてはならない。」
26 彼等は与えられた雄牛を取って準備し, 朝から真昼までバアルの名を呼び, 「バアルよ我々に答えてください」 と祈った。 しかし, 声もなく答える者もなかった。 彼等は築いた裁断の周りを飛び回った。
27 真昼頃, エリヤは彼等を嘲って言った。 「大声で呼ぶがいい。 バアルは神なのだから。 神は不満なのか, それとも人目を避けているのか, 旅にでも出ているのか。 恐らく眠っていて, 起こしてもらわなければならないのだろう。」
(中略)

30 エリヤは全ての民に向かって, 「私の近くに来なさい」 と言った。 全ての民が彼の近くに来ると, 彼は壊された主の祭壇を修復した。
31 エリヤは, 主がかつて, 「あなたの名はイスラエルである」 と告げられたヤコブの子孫の部族の数に従って, 12 の石を取り,
32 その石を用いて主の御名のために祭壇を築き, 祭壇の周りに種 2 セアを入れることの出来るほどの溝を掘った。
33 次に薪を並べ, 雄牛を切り裂き, それを薪の上に載せ,
34 「四つの (かめ) に水を満たして, 生け贄と薪の上にその水を注げ」 と命じた。 彼が 「もう一度」 と言うと, 彼等はもう一度そうした。 彼が更に 「三度目を」 と言うと, 彼等は三度同じようにした。
35 水は祭壇の周りに流れ出し, 溝にも満ちた。
36 捧げ物を捧げる時刻に, 預言者エリヤは近くに来て言った。 「アブラハム, イサク, イスラエルの神, 主よ, あなたがイスラエルにおいて神であられること, 又私があなたの (しもべ) であって, これら全てのことをあなたの御言葉によって行ったことが, 今日明らかになりますように。
37 私に答えてください。 主よ, 私に答えてください。 そうすればこの民は, 主よ, あなたが神であり, 彼等の心を元に返したのは, あなたであることを知るでしょう。」

38 すると, 主の火が (くだ) って, 焼き尽くす捧げ物として, 薪, 石, 塵を焼き, 溝にあった水をもなめ尽くした。
39 これを見た全ての民はひれ伏し, 「主こそ神です。 主こそ神です」 と言った。
40 エリヤは, 「バアルの預言者共を捕らえよ。 一人も逃がしてはならない」 と民に命じた。 民が彼等を捕らえると, エリヤは彼等をキション川に連れていって殺した。

[干ばつの終わり]
41 エリヤはアハブに言った。 「 (のぼ) って行って飲み食いしなさい。 激しい雨の音が聞こえる。」
(中略)
45 そうするうちに, 空は厚い雲に覆われて暗くなり, 風も出て来て, 激しい雨になった。 アハブは車に乗ってイズレエルに向かった。
46 主の御手がエリヤに臨んだので, エリヤは裾をからげてイズレエルの境までアハブの先を走って行った。

同 19 [ホレブに向かったエリヤ]

1 アハブは, エリヤの行った全ての事, 預言者を剣で皆殺しにした次第を全てイゼベルに告げた。
2 イゼベルは, エリヤに使者を送ってこう言わせた。 「私が明日のこの時刻までに, あなたの命をあの預言者たちの一人の命のようにしていなければ, 神々が幾重にも私を罰してくださるように。」

3 それを聞いたエリヤは恐れ, 直ちに逃げた。 ユダヤのベエル・シェバに来て, 自分の従者をそこに残し,
4 彼自身は荒れ野に入り, 更に一人の道のりを歩き続けた。 彼は一本のえにしだの木の下に来て座り, 自分の命が絶えるのを願って言った。 「主よ, もう十分です。 私の命を取ってください。 私は先祖に勝るものではありません。」
5 彼はえにしだの木の下で横になって眠ってしまった。 御使いが彼に触れて言った。 「起きて食べよ。」
6 見ると, 枕元に焼き石で焼いたパン菓子と水の入った瓶があったので, エリヤはそのパン菓子を食べ, 水を飲んで, 又横になった。
7 主の御使いはもう一度戻って来てエリヤに触れ, 「起きて食べよ。この旅は長く, あなたには耐え難いからだ」 と言った。
8 エリヤは起きて食べ, 飲んだ。 その食べ物に力づけられた彼は, 四十日四十夜歩き続け, ついに神の山ホレブに着いた。
9 エリヤはそこにあった洞穴に入り, 夜を過ごした。 見よ, その時, 主の言葉があった。 「エリヤよ, ここで何をしているのか。」
10 エリヤは答えた。 「私は万軍の神, 主に情熱を傾けて仕えてきました。 ところが, イスラエルの人々はあなたとの契約を捨て, 祭壇を破壊し, 預言者たちを剣に掛けて殺したのです。 私一人だけが残り, 彼等はこの私の命をも奪おうと狙っています。」
11 主は, 「そこを出て, 山の中で主の前に立ちなさい」 と言われた。 見よ, その時主が通り過ぎていかれた。主の御前には非常に激しい風が起こり, 山を裂き, 岩を砕いた。しかし, 風の中に主はおられなかった。 風の後に地震が起こった。 しかし, 地震の中にも主はおられなかった。
12 地震の後に火が起こった。 しかし, 火の中にも主はおられなかった。 火の後に, 静かにささやく声が聞こえた。
13 それを聞くと, エリヤは外套で顔を覆い, 出て来て, 洞穴の入り口に立った。 その時, 声はエリヤにこう告げた。 「エリヤよ, ここで何をしているのか。
14 エリヤは答えた。 「私は万軍の神, 主に情熱を傾けて仕えてきました。 ところが, イスラエルの人々はあなたとの契約を捨て, 祭壇を破壊し, 預言者たちを剣に掛けて殺したのです。 私一人だけが残り, 彼等はこの私の命をも奪おうと狙っています。」
15 主はエリヤに言われた。 「行け, あなたの来た道を引き返し, ダマスコの荒れ野に向かえ。 そこに着いたなら, ハザエルに油を注いで彼をアラムの王とせよ。
16 ニムシの子イエフにも油を注いでイスラエルの王とせよ。 又アベル・メホラのシャファトの子エリシャにも油を注ぎ, あなたに代わる預言者とせよ。
17 ハザエルの剣を逃れた者をイエフが殺し, イエフの剣を逃れた者をエリシャが殺すであろう。
18 しかし, 私はイスラエルに七千人を残す。 これは皆, バアルにひざまずかず, これに口付けしなかった者である。」

19 -- 21 [エリヤ, エリシャを召し出す] (略)

列王記下 1 [エリヤとイスラエルの王アハズヤ]

3 一方, 主の御使いはティシュベ人エリヤにこう告げた。 「立て, 上って行ってサマリアの王の使者に会って言え。 『あなたたちはエクロンの神バアル・ゼブブに尋ねようとして出掛けているが, イスラエルには神がいないとでも言うのか。
4 それ故主はこう言われる。 あなたは上った寝台から降りることはない。 あなたは必ず死ぬ。』」 エリヤは出て行った。
(中略)

9 アハズヤは五十人隊の長を, その部下五十人と共にエリヤのもとに遣わした。 隊長がエリヤのもとに上って行くと, エリヤは山の頂きに座っていた。 隊長が, 「神の人よ, 王が 『降りてきなさい』 と命じておられます」 と言うと,
10 エリヤは五十人隊の長に答えて, 「私が神の人であれば, 天から火が降って来て, あなたと五十人の部下を焼き尽くすだろう」 と言った。 すると, 天から火が降って来て, 隊長と五十人の部下を焼き尽くした。
11 王は再びもう一人の五十人隊の長を ... (繰り返しなので省略)。
13 王は更に三人目の五十人隊の長とその部下五十人を遣わした。 三人目の五十人隊の長は上って来て, エリヤの前にひざまずき, 懇願して言った。 「神の人よ, どうか私の命と, あなたの僕であるこの五十人の命を助けてください。
14 御覧のように, 天から火が降って来て, 先の二人の五十人隊の長と彼等の部下五十人を焼き尽くしました。 どうか, 私の命を助けてください。

15 主の御使いがエリヤに, 「彼と共に降りて行け。 彼を恐れるには及ばない」 と告げたので, エリヤは立ち上がって彼と共に王の所に降りて行って,
16 王にこう告げた。 「主はこういわれる。 『あなたはエクロンの神バアル・ゼブブに尋ねようとして使者を遣わしたが, それはイスラエルにその言葉を求めることの出来る神がいないという事なのか。 それ故あなたは上った寝台から降りることはない。 あなたは必ず死ぬ。』」

17 王はエリヤが告げた主の言葉通りに死んで, (後略)

同 2 [エリヤ, 天に上げられる]

1 主が嵐を起こしてエリヤを天に上げられたときのことである。 エリヤはエリシャを連れてギルガルを出た。
2 エリヤはエリシャに, 「主は私をベテルにまでお遣わしになるが, あなたはここに留まっていなさい」 と言った。 しかしエリシャは, 「主は生きておられ, あなた御自身も生きておられます。 私はあなたを離れません」 と答えたので, 二人はベテルに下って行った。
3 ベテルの預言者の仲間たちがエリシャのもとに出て来て, 「主が今日, あなたの主人をあなたから取り去ろうとなさっているのを知っていますか」 と問うと, エリシャは, 「私も知っています。 黙っていてください」 と答えた。
4 エリヤは, 「エリシャよ, 主は私をエリコへお遣わしになるが, あなたはここに留まっていなさい」 と言った。 しかしエリシャは, 「主は生きておられ, あなた御自身も生きておられます。 私はあなたを離れません」 と答えたので, 二人はエリコに来た。
5 エリコの預言者の仲間たちがエリシャに近付いて, 「主が今日, あなたの主人をあなたから取り去ろうとなさっているのを知っていますか」 と問うと, エリシャは, 「私も知っています。 黙っていてください」 と答えた。
6 エリヤはエリシャに, 「主は私をヨルダンへお遣わしになるが, あなたはここに留まっていなさい」 と言った。 しかしエリシャは, 「主は生きておられ, あなた御自身も生きておられます。 私はあなたを離れません」 と答えたので, 彼等は二人で出掛けて行った。
7 預言者の仲間五十人もついて行った。 彼等は, ヨルダンのほとりに立ち止まったエリヤとエリシャを前にして, 遠く離れて立ち止まった。
8 エリヤが外套を脱いで丸め, それで水を打つと, 水が左右に分かれたので, 彼等二人は乾いた土の上を渡って行った。
9 渡り終ると, エリヤはエリシャに言った。 「私があなたのもとから取り去られる前に, あなたのために何をしようか。 なんなりと願いなさい。」 エリシャは, 「あなたの霊の二つの分を私に受け継がせてください」 と言った。
10 エリヤは言った。 「あなたは難しい願いをする。 私があなたのもとから取り去られるのをあなたが見れば, 願いはかなえられる。 もし見なければ, 願いはかなえられない。」
11 彼等が話しながら歩き続けていると, 見よ, 火の戦車が火の馬に引かれて現れ, 二人の間を分けた。 エリヤは嵐の中を天に上って行った。
12 エリシャはこれを見て, 「我が父よ, 我が父よ, イスラエルの戦車よ, その騎兵よ」 と叫んだが, もうエリヤは見えなかった。 エリシャは自分の衣をつかんで二つに引き裂いた。
(後略)

新共同訳聖書, 日本聖書協会による。


非常に良く晴れた日だった。 溜池山王駅の 13 番出口までの道程は長かった。 改札に行くときにどちら側だったか忘れてしまっていたのだが, 確かテレ朝の建物が隣に見えたことを覚えていたので, 何とかなった。 出口を出てからも, ちゃんとたどり着けるかどうか一寸不安だったが何とかなった。

着いてみると厳戒体制とかで, 入り口で ticket の提示を求められた。 その割には途中退出のときはかなりいい加減だった (笑)。

字幕は org. の左右, flag を下げるところに下げられているのと, P 席の人の為に二階席 LC, RC の両端の所に置いてある。

独唱者の位置は次の通り。 左から Lippert, Lipovšek, Rootering, (指揮者を挟んで) Ziesak, 天羽, 坂口, 櫻田, 今尾。 そうそう, 今尾さんはどこかで見た気がする。 と思ったらやっぱりオペラ宅配便シリーズで歌っていた。 第 28 曲 Hebe deine Augen auf zu den Bergen (山に向かって目を上げよ。救いはそこからやって来る) を歌う三人 (高校生くらいの女の子) は一番左, 合唱の前。

Lippert は受難曲などの Evangelist (福音史家) にも適した声であると感じた。 Elias 役の Rootering の声は良い。 迫力があって予言者としての説得力がある。 Ziesak の声は高くて綺麗。 櫻田さんは最も出番が少ない。 次に少ないのは坂田さんかな ?

Elias の最初の一音はどうも J. S. Bach のマタイの最初の音に酷似している。

Elias は受難曲や Bach のオラトリオなどとは違って物語を語っている部分は殆どなく, オペラのように列王記の台詞を独唱者及び合唱が歌い, 詩篇やその他の詩句を引用して重唱又は合唱されるという style で書かれている。 多分字幕があれば予習しなくてもかなり理解できる (演技は特にないから)。 前半よりも後半の方がかなり宗教的。

Erster Teil は 20 曲からなっており殆ど途切れがない。 上記の列王記上 17:1 -- 18:45 までである (演奏はだいたい 15:05 -- 16:05)。 第 8 曲の soprano のアリアが素晴らしい。 第 13 曲: Baal ! Baal ! Gib uns Antwort, Baal ! Siehe, Die Feinde versporten uns ! (だと思うが) は三度歌われるが, その度に General Pause が入り, マタイの "Barabam !" を彷彿とさせるような迫力であった。 沈黙もまた音楽という風情。

Zwieter Teil は 22 曲からなっている。 (演奏はだいたい 16:25 -- 17:25) 先ず列王記上 19:2 ではあまりエリアが逃げた理由がはっきりしないので, 補足的に前の部分からの引用などで補う。 こちらの方は Erster Teil に比して, 旧約聖書の記述を追わずに, 劇的に進んでいるようである。 特に第 38 曲で列王記下 2:11 が歌われたあとは, 詩句の引用だけで殆ど祈りの言葉である。

全体的に合唱の力強さと (多分 Mendelssohn がマタイを復活させたときのような) 大編成のオケによるマタイとほぼ同じ style の編成 (合唱, 8 人 = 2 sets の四重唱分の独唱者, org., オケ) による壮麗なこの曲は, いわば Mendelssohn の信仰告白とも言えるのではないか。 この曲が Sawallisch のたっての願いでこの日の演奏に結実したというのも, 単なる噂ではないのに違いない。

アンコールは 17:38 まで続き, 合唱隊が退場し始めても尚拍手は鳴り止まず, 殆ど空になった舞台に再び 11 人の独唱者と合唱指揮者, 指揮者が呼び出されていた。

非常に感動したので, とりとめのない文である上に, あんまり記録として正確でないのはご容赦いただきたい。


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