演目:
前半: 19:00 -- 19:24
John Dowland (ダウランド, 1562 ? 63 ? -- 1626): Quatro Canzoni
(四つの歌)
Come away, come, sweet love ! (おいで, 甘い恋よ !)
Come agein (来れ再び)
Wilt thou, unkind, thus reave me
(冷酷にも貴女は私からこんなにも奪い)
Awake, sweet love (目覚めよ, 甘い恋よ)
[以上英語]
F. Carulli (カルッリ): Due Ariette su Testo di Metastasio
(メタスタージオの詩による二つのアリエッテ)
Che fa il mio bene (何をしているのかしら私の愛しい人)
Deh con me non vi sdegnate (ああ, 私を軽蔑なさらないで)
M. Giuliani (ジュリアーニ): Tre Ariette op. 95 (testo di Mestasio) (三つのアリエッテ
(メタスタージオの詩による))
Ombre amene (心地よい日陰)
Fra tutte le pene (全ての苦悩の間で)
Quando sara' quel di (その日が来るだろう時)
[以上イタリア語]
後半及びアンコール: 19:35 -- 20:13
M. Giuliani:
Abschied (別れ) [W. Goethe]
Lied aus der ferne (遠くからの歌) [F. von Matthisson]
Ständchen (セレナーデ) [C. A. Tiedge]
[以上ドイツ語]
F. Garcia-Lorca (ガルシア・ロルカ): Sei Canzoni Popolari Spagnole
(スペインの六つの民謡)
Anda, jaleo (行け, それ !)
Los cuatro muleros (四頭のラバ)
Las morillas de Jaen (ハエンの浅黒い女の子たち) [Canción
popular del siglo XV 十五世紀のポピュラーソング]
La Tarara
Nana de Sevilla (セヴィリアの子守歌)
Sevillanas del siglo XVIII (十八世紀のセヴィリアーナ)
[以上スペイン語]
アンコール: 一曲目 不明, 二曲目 フラメンコの曲らしい, 三曲目 「浜辺の歌」
福田美佳, ソプラノ
リリコ
Walter Pezzali (ヴァルテル・ペッツァーリ), guitar
5/10 の朝日新聞夕刊 Mullion というコーナーに音楽関係の情報が出ているのであるが, そこに私は次のような記事を見つけた
■福田美佳 & ワルテル・ペッツァーリ
25日[金][後] 7 時, 東京都江東区住吉二丁目のティアラこうとう小ホール (地下鉄住吉駅)。 主にイタリアと日本で演奏活動を行っているソプラノ歌手の福田と, イタリア出身のクラシックギタリスト, ペッツァーリのデュオリサイタル。 ガルシア・ロルカ 「六つのスペイン民謡」, ジュリアーニ 「三つのアリエッテ」 など多才な作品を五か国語で歌い分ける。 3500円。
ペア五組を招待。 [宛先住所略] 15日必着。
27 日には予定が入っていたが, この日は暇なはずだったので, どうせ当たらないだろうと思い出してみた。 ところが, 意外にも当たってしまった。 消印をみると 17 日には投函されている。
この度は朝新聞読者プレゼントにご応募いただきましてありがとうございました。 応募総数 257 通の中から厳正な抽選の結果, 見事当選されましたのでご招待状をお送りいたします。 ありがとうございました。 [署名, HP address 略]
というわけで, 今回の鑑賞と相成ったわけである。 結構な高倍率で当たっている。 案外運がいいのかも (笑)。
しかしせっかく招待券があるのに, 一人で行くのも何だなと思い, 当日クラ音 chat で人を探していた所, 丁度 16:00 頃, ゆうきが入っていたので誘ってみると, 暇なので良いという。 というわけで二人して行くこととなった。
行ってみるとティアラこうとう大ホールは公明党の集会に使われていた。 というわけで結構お年を召した方が, ティアラこうとうに集結しつつあったのである。
ティアラこうとう小ホールは非常に小さいホールだ。 全体的に扇形になっており, 舞台は非常に狭く, ピアノ一台 (full concert style) でいっぱいになってしまいそうである。 音響はかなり良かった。 前回行った, 蝶々夫人ハイライトのきゅりあん小ホールより遙かに良い。 きゅりあん小ホールは長方形だったのが影響しているのかもしれない。 尤も蝶々夫人ハイライトは, この大きさのホールでは実現不可能である。
客席はかなりの程度埋まったが, この中で 10 人は招待客だろうし, 開いてる席も少なからずあるので, 経営的には赤字であろう。 ひが, 有名でない歌手は, お金を出して好きな歌を歌う, と言っていたのを思い出した。 一番後ろの中央あたり H-15 の席に着く。
福田美佳さんは, この日は blue のドレスをお召しになっておられ, 髪は (同封されていたチラシとは違い) 茶色に染めていらした。 Pezzali さんは, 大分禿げていたな (笑)。
最初の Dowland の曲はイギリス民謡調で, guitar もリュートらしい響きに撤していた。 全般に Pezzali 氏の guitar は非常に安定しており, 伴奏者としても, 目立ちすぎず, さりとて埋もれてしまうこともない非常によい演奏であった。 一方福田氏の歌唱は, 最初の頃やはり部分部分 (特に臨時記号が入るようなところで) 音が若干不安定で, エンジンがかかるのに多少時間がかかるようであった。 しかし, ダイナミックレンジの広い, pp になっても, ホール全体ではっきり聴き取れる, 感情豊かな歌唱であった。
全体を通じて前半の Giuliani の Ombre amene が一番良かった。 イタリア歌曲ということで, 福田さんの歌唱も非常に安定していたということもあろう。 このリサイタルでは歌詞対訳も配られたので, 原詩のみここに掲げておく。
Ombere amene amiche piante
Il mio bene il caro amante
chi mi dice ove n'ando ?
Zeffiretto lusinghiero,
a lui vola messagiero,
di che torni, e che mi renda
quella pace che non ho.
後半, 福田さんは肩から白いショール (?) を纏われていた。 途中から腕から垂らしていたりしたので, 視覚上の効果も狙ったものらしい。 残念ながら後半のドイツ語の歌曲は, (イタリアの歌手は皆そうなのかもしれないが) 子音が弱くて, 全然ドイツ語に聞こえなかった。 イタリア語, スペイン語が分からないだけかもしれないが (笑)。
後半の曲で気に入ったのは F. Garcia-Lorca の Nana de Sevilla であった。 これも原詩のみ掲げておくことにしよう。
Esta galapaguito
no tiene mare, a, a...
no tiene mare, si,
no tiene mare, no,
no tiene mare, a, a...
lo parió una gitana
lo echó a la calle, si,
lo echó a la calle, no,
lo echó a la calle, a, a...Este niño chiquito
no tiene cuna, a, a...
no tiene cuna, si,
no tiene cuna, no,
no tiene cuna, a, a...
su padre es carpintero
y le hará una, a, a...
y le hará una, si,
y le hará una, no,
y le hará una, a, a...
アンコールの曲は, 最初の二曲は, title も分からない知らない曲だったので, 特にコメントはないが, 「浜辺の歌」 は日本語が 「あした はまびーをさまよえばー」 と発音が (多分) イタリア語訛りになっていて結構びっくりした。