古事記 --- Tage der Götter (神々の日々)

Saturday, 27th Octber, 2001.
サントリーホール
18:00 -- ca. 20:20.

東京交響楽団第 485 回定期演奏会
創立 55 周年記念定期演奏会
ある芸術家の遺稿

黛敏郎作曲

Opera KOJIKI (Tage der Götter) (「古事記」 --- 神々の日々, 全 4 幕, 日本初演, 演奏会形式), July 16, 1993 (完全 original 版).

台本 (Deutch): 中島悠爾 (ゆうじ), G. Fussenegger (ゲルトルート・フッセネッガー)

指揮: 大友直人

演出: 実相寺昭雄 (あきお)

イザナギ: 福島明也 (あきや), Br.
イザナミ: 永井和子, M-Sop.

スサノヲ: Thomas Sigwald (トーマス・ジクヴァルト), Ten.
アマテラス: 大倉由紀枝, Sop.

オモイカネ (第二幕), アシナヅチ (第三幕): 木村俊光, Bs.
天つ神 (Himmelsgeist 第一幕), クシナダ (第三幕) 天羽明惠, Sop.

使人 (Bote): 井ノ上了吏 (りょうじ), Ten.

Narration: Jusua Bartsch (ヨズア・バーチュ)

使える神々 (Geiste, 第二幕)
I 押見朋子, M-Sop; II 磯地三樹, M-Sop; III 丹羽智子, M-Sop; IV (u. Regen-Gott 雨の神, 第四幕) 羽山 (はやま) 弘子, Sop; V 安井陽子, Sop; VI 羽山晃生 (こうせ)

風の神 (Wind-Gott): 大久保三哉, Br.
雷の神 (Donner-Gott): 笹倉直也, Br.
物見の神 (Wächter): 星野聡, Br.

Concert mistress: 大谷康子

合唱: 栗友 (りつゆう) 会合唱団
合唱指揮: 栗山文昭


この日のサントリーホールの中は, 主に prologue と epilogue で用いられる screen が pipe organ の前に釣り下げられている。 P 席左右に (Elias の時とは違い) 据え置き式の字幕装置。 二階席の所に字幕装置があるのは Elias の時と同様。 P 席には合唱及び端役の人々が位置する。 この配置からすると二階席の方が聴きやすい気がするが, 端の方だと字幕が見えるのかどうか心配。

Prologue と第一幕 18:05 -- 18:44

Narration は laud speaker から。 「時はいずこともなく来たり, いずこともなく流れ...」 最初に暗い中の水面が移され, やがて水の粒に, そこから現代東京の夜景, 昼の姿, ゴミ, 再び昼の高層ビル群, 鏡が割れてビルがそこに写っていたことが分かる。 やがて満点の星々。 銀河。 「現代の先端文明の国日本...。 しかし, この国はかつてこのようにして始まったのである。」 静かにトーンクラスタとグリッサンドで幕を開ける。

第一幕第一場は伊弉冉尊 (いざなみのみこと) 伊弉諾尊 (いざなぎのみこと) の dialogue 及び天つ神と合唱。 全幕を通じて, 独唱者よりも合唱の weight が大きい。 いざなぎ, いざなみの dialogue は最初無伴奏である。 天つ神は org. のすぐ前, P 席の最後部中央で歌う。 様々な神をいざなみが生み, 火の神を生んで死ぬまで。

第一幕第二場はいざなみを黄泉の国から連れて帰ろうとするところ。 黄泉竈食 (よもつへぐひ) をしてしまったため, いざなみはそうおいそれとは帰れない。 いざなぎの目から天照大神と月の神 (名前を失念した), 須佐之男命が生まれる。 いざなぎが逃げ帰ると screen に虹。 須佐之男命の誕生のあと G.P. これが印象的。

第二幕 18:46 -- 19:07

舞台には向かって左から天照大神, 須佐之男命, おもいかね。 P 席の中央第一列目には使える神たち, 風の神, 雷の神, 物見の神。 須佐之男命の乱行時の音楽はストラヴィンスキーの春の祭典調。 海を与えられた彼はそれを不満に思い, 高天原 (たかまがはら) へ。 高天原での彼の乱暴に堪えかねて天照大神は天の岩戸に隠れてしまう。 この際の天照大神の最高音から下ってくるところが一寸お粗末であった。 それから使える神 (女声) の力量差がもろに出てしまった。 因みに須佐之男命は, この第二幕では最初歌うだけで, あとは全然歌わない。

第二幕。 有名なアメノウズメの舞の scene であるが, 演奏会形式なので, 当然音楽が流れるだけ。 非常に想像力が掻き立てられる。 天照大神が岩戸から顔を覗かせると, screen には太陽が。 出て来たところで, P2 扉が開け放たれ光がさし込む。 (但し, 長く開けすぎ。 暗転と同時に閉めるべきであった)

《20 分休憩》

第三幕 19:30 -- 19:54

第一場は須佐之男命が出雲国を訪れ, 暗くすさんでいるのを不信がる。 第二場は八岐大蛇 (やまたのおろち) の話を聞き, 退治した暁にはくしなだ姫を妻にもらいたいと歌う。 第三場, 八岐大蛇退治は合唱が歌う。 退治のあと, くしなだ姫との duet. ここで気付いたが, くしなだ姫の天羽さんは Elias でも拝見した方であった。

第四幕と epilogue 19:55 -- 20:12

須佐之男命から天照大神へと使者がやって来て, 和解を請う。 第二場は天照大神が瓊瓊杵尊 (ににぎのみこと) に三種の神器を渡し, 地上に送る。 合唱が高らかに褒めたたえる。 ここで終った方が劇的で良かったと思うのだが, epilogue に続く。

Epilogue は prologue の画像の逆回し。 「かくて物語は終わり, 日本は始まった...」 と narration が告げ, 「時は...」 と台詞も最初のものに回帰して終る。

この日は chat 仲間の真さんが来ていることが分かっていたのだが, 私の方は真さんの席を知らなかったので会えなかった。 向こうはこっちの席を一階 13 列 4 番と知っていたのだが。 翌日の午前 3:21 のカキコによれば 11 列 6, 7 番だっとのこと。 そういえばその席には couple が座っていたなぁ (にやり)。

Opera 「古事記」 は全体の長い話を三幕に纏めすぎていて story が digest になってしまっていて面白みに欠ける。 各幕毎に独立した opera にしても良かったかと思う。


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