日本語でターミナルと言えばそれは大体において終着駅 terminal station, か端子の事だが, 英語本来の意味は, 最後の, とか, 末端の, とかいう意味。
数学では terminal という言葉は, その dual な概念 initial に比してあまり出て来ない。 実際 vector → の先端 (尖っている方) を指す終点 terminal point 位である。 有限な数列 {an} の末項は意外にも, last term というのであった。
圏論 category theory では, どのような対象 a に対しても唯一つの射 a → t だけが存在するような対象 t の事を終対象 terminal object という。 例えば集合の圏では要素を唯一つだけもつ集合 (普通単集合 singleton という) が終対象で, 群の圏では唯一つの要素からなる群が終対象である (この群は同時に始対象でもある)。
この terminal の対義語は initial であり, initial と terminal は dual な概念であるといわれる。
参考文献:
小松勇作編: 数学英和・和英辞典, 共立出版株式会社。
Saunders Mac Lane: Categories for the Working Mathematician, Graduate
Texts in Mathematics 5, Springer-Verlag.