The Leningrad State Opera in memory of Mussorgsky (ムソルグスキー記念, レニングラード国立歌劇場オペラ)
Tosca (トスカ), opera in three acts.
Text (原作): Victorien Sardou (ヴィクトリアン・サルドゥ)
Music: Giacomo Puccini (プッチーニ)
Libretto (台本): Giuseppe Giacosa (ジュゼッペ・ジャコーザ), Luigi
Illica (ルイジ・イッリカ)
Floria Tosca (フローリア・トスカ): Galina Gochakova
(ガリーナ・ゴルチャコワ), soprano.
Mario Cavaradossi (マリオ・カヴァラドッシ, 画家): Vasili Spichiko
(ヴァシーリー・スピチコ), tenor.
Baron Scarpia (スカルピア男爵, 警視総監): Nicolay Kopylov
(ニコライ・コピロフ), bariton.
Cesare Angelotti (チェザレ・アンジェロッティ, 政治犯): Yury Ivshin
(ユーリ・イヴシン), bariton.
Sacristan (堂守, 教会の番人): Mikhail Kazantsev (ミハイル・カザンツェフ), bass.
Spoletta (スポレッタ, 警官): Victor Lukyanov (ヴィクトル・ルキャノフ), tenor.
Sciarrone (シャルローネ, 憲兵): Sergey Safenin (セルゲイ・サフェーニン), bass.
Gaoler (看守): Vladimir Grishin (ウラディミール・グリシン), bass.
Shepherd boy (牧童, 羊飼いの少年): Elena Borisevich (エレーナ・ボリシェビチ), soprano.
Artistic Director (芸術監督・演出): Stanislav Gaudassinsky (スタニスラフ・ガウダシンスキ)
Conductor (指揮): Andrey Anikhanov (アンドレイ・アニハーノフ)
The Leningrad State Orchestra (レニングラード国立歌劇場管弦楽団)
The Leningrad State Opera Chorus (レニングラード国立歌劇場合唱団)
(Chorus Master: Alexander Chernov, 合唱指揮,
アレクサンデル・チェルノフ)
The Leningrad State Opera Ballet (レニングラード国立管弦劇団バレエ)
今日はいつもの可愛いお嬢さんの birthday eve. というわけなので色々探して, この opera を取ったのだった。 前夜ではなくて当日を探したのだが, 実は当日はフジコ・イングリット・ヘミングしか見つからなかったので, 彼女の好みに合わせて前夜にしたのだった。 前夜に見つかって良かった。 もっと離れたら意義が薄れてしまう。
この日は晴れ。 十二月にしてはかなり暖かい陽気だった。 職員会議が予定されていたので, 休みを取って早めに職場を出る。 誕生日の present を買うなど所要を済ませたが, まだまだ時間がたっぷり余っていたので, 東急線の普通でゆっくりと渋谷に向かうが, 何と 5:00 頃着いてしまった。 暇なので, 102-2 と Q-front の壁に映っている TV と news を読みながら待つ。
18:17 着いた旨の連絡が来る。 6:30 開演を 6:30 開場と間違えていたらしい。 bumkamura の HP から印刷してきた地図によると 「徒歩 7 分」 ということなので, 二人で焦って走る。 まぁとりあえず間に合った。 あまりにぎりぎりだったのでクロークに荷物を預ける暇もなく, program を買う暇もなかった。
bunkamura は前に来たことがあるのか, 何となく見覚えがある。 しかし何で来たのかまったく思い出せない。 オーチャードホールは多分初めて。 誕生祝いなので一階の (左右で) 中央の席を取っておいたのだが, オーチャードホールの一階席の前半は傾斜が緩く, 前の席の人の頭で舞台が見にくい。 オーチャードホールは一階の後ろの方か, 二, 三階の方が見易いかもしれない。 或いは前半なら左右にずれた方がいいかも。 ど真ん中は良くないようだ。 反省点の一つである。
予習として Guleghina の歌う 「トスカ」 の CD を聴いていったのだが, CD だからかもしれないが, 彼女の声はトスカには強すぎると感じた。 特に有名なアリア 「歌に生き, 恋に生き」 はもっと女性の弱さが出て欲しいと思ったものだ。 今日の Gorchakova はどうであろうか ?
第一幕 18:37 -- 19:22
聖アンドレア・デッラ・ヴェッレ教会の中。 とは言え, 本物を知らないので, 奥にある絵は, 何となくシスティナ礼拝堂のそれかなぁ等と勝手に思う (笑)。 上手に Cavaradossi の描いている絵の canvas, 下手に礼拝堂。 短い序奏のあとすぐ Angelotti 登場。
一幕の一番の聞きどころは, 私の考えでは二重唱 「二人の愛の家へ」 ではないかと思う。 この辺の Cavaradossi と Tosca の愛の theme が全編に幾度となく現れる。 その他に全編に流れているのは, Scarpia の theme であろうか。 私の可愛いお嬢さんも指摘していたように, 意外に不協和音が多く, 思ったより近代的だったりする。 この幕であったか, org. の音が聞こえるような気がするのだが, program の member list には organist がないので, 管楽器でああいう音を出しているのだろうかと一寸いぶかる。 私はこの愛の theme がかなり好きなので, 一日経ってもまだ頭の中で何度もこれが繰り返し繰り返し鳴っている。
スカルピアは悪役として申し分のない出来。 悲劇は悪役がちゃんと演じてくれないと締まらないのは言うまでもない。
ここの幕間で, program を買ってきた。
第二幕 7:45 -- 8:30
Scarpia の部屋。 下手に本棚となった隠し扉がある。 ここで歌われる cantata が隠れた名曲であると思う。 私の可愛い連れは同意してくれなかったが, どうもこの部屋の趣味はロシア調である気がする。 尤も私は海外に出たことがなく, 彼女は海外に出たことがあるので, 彼女の方が正しいのかもしれない (笑)。
第二幕の最大の聞きどころである 「歌に生き, 恋に生き」 は素晴らしい。 Gorchakova はこういうか弱さを見せるところも, この幕の最後のところで Scarpia に対峙していくところも上手く歌い分けている。 こうでなくては (^o^)。
第三幕 (とカーテンコール) 8:58 -- 9:26
聖アンジェロ教会。 格子の柵の向こうに, 遠く教会のドームが見えている。 下手に階段がある。
第三幕は多分最も有名な Cavaradossi のアリア E Lucevan le Stell (星は光りぬ) が歌われる。 第三幕はこの theme が何度も現れる。 第一幕での愛の theme も, このアリアの直前に流される。 私はこのとき opera glasses で良く見ていたのだが, Cavaradossi はすらすらとペンを走らせて, Tosca に最後の手紙を書いていた。 しかしここは是非, Tosca との愛の思い出に心潰されて, pen が遅々として進まないといった演出にしてもらいたかった ! (個人的な趣味かもしれない)
カーテンコールは何度も続いたが, 以前の 「薔薇の騎士」 や 「蝶々夫人」 に比べて観客が淡白なのか, 回数が少なかった。
さて, 今回はオーチャードホールの座席の構造上の問題を除けば solists も合唱も, オケも良かった。 観客は私の後ろは最初の方喋っていたし, やけに咳払い (というか風邪を引いた人が多かったのか, 本気で咳をする人) が多く, 一寸閉口した。 合唱もオケも前回の 「アイーダ」 と同じ規模だと思うのだが, 席の違いか, まったくもって音量的にも違う。 やっぱり高い席を取らねばならないのか ? それとも前回がやはり貧弱だったのか ? これが現在のところの謎である。
帰りは彼女に Carmen という店を教えてもらって, そこでお食事。 手ごろな値段で沢山食べれてしまった。 かなり美味しい。
有名な例として 「星は光りぬ」 ですね。 音楽の方が先に出来たので, メロディーに合う言葉を書いてくれと台本作者に要求しています。
小幡恒夫
対談: サントリーホール
ホールオペラ トスカの魅力を探る (with 岸純信)
月刊 ぶらあぼ (1), 2004.