Verismo

Saturday, 18th September, 2004.
新国立劇場
17:00--20:02.


Pietro Mascagni (マスカーニ, 1863/12/7--1945/8/2): Cavalleria Rusticana (カヴァレリア・ルスティカーナ, 1890/5/17, ローマ・コンスタンツィ劇場初演)

Ruggiero Leoncavallo (レオンカヴァッロ, 1857/4/23 (古くは 3/8 と言われていた)--1919/8/9): I Pagliacci (道化師, 1892/5/21, ミラノ・ダル・ヴェルメ劇場初演)

Cavalleria Rusticana:
Santuzza (サントゥッツァ): Elisabetta Fiorillo (エリザベッタ・フィオリッロ)
Lola (ローラ): 坂本 (あけみ)
Turiddu (トゥリッドゥ): Attila Kiss (アッティラ・キス)
Alfio (アルフィオ): 青戸 (さとる)
Lucia (ルチア): 片桐仁美

I Pagliacci:
Canio (カニオ): Giuseppe Giacomini (ジュゼッペ・ジャコミーニ)
Nedda (ネッダ): Julietto Galstian (ジュリエット・ガルスティアン)
Tonio (トニオ): Georg Tichy (ゲオルグ・ティッヒ)
Peppe (ペッペ): 吉田浩之
Silvio (シルヴィオ): Rudolf Rosen (ルドルフ・ローゼン)

(ばん) 哲朗, 指揮
Grischa Asagaroff (グリシャ・アサガロフ), 演出

東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団


別に verismo (ヴェリズモ) という題の作品があるわけじゃないが (いや, あるかもしれないがあってもそれとは関係なく), これはイタリア語で, 「真実主義」 「現実主義」 を意味する。 普通これの代表がこれら, マスカーニ 「カヴァレリア・ルスティカーナ」(1890) と レオンカヴァレロ 「道化師」(1892) ということになっている (というか私は他に知らない)。

Pietro Mascagni も Cavalleria Rusticana 以外は有名な作品はないようだ。 間奏曲が有名 (CM にもなった)。
Ruggiero Leoncavallo も I Pagliacci 以外は殆ど知られていない (この前 「ラ・ボエーム」 が珍しくかかった。 Puccini とタイトルが同じだが, 内容まで同じかどうかは不明) が, この第一幕末尾のアリア “Vesti la giubba” (衣裳を付けろ) が非常に有名。 何故だかこの二つの作品はいつも一緒に上演される。 時間が丁度いいからなのだろうか? でも cast は各々別。 両方を演じるのは大変なのか。 良く分からない。

先行予約の案内が来ていた。 10:00 a.m. からかと思っていたら, 正午からだった。 正午だと 「メレンゲ」 とかかっちゃうな〜と思いながらも, どうせ玉緒と青木さやかだからどっちでもいいかという気持ちと半々。

お昼近くになって, そろそろ食事かなと思ったら, 何とドアが開かない。 どんどん叩いたが, 親は気づかず。 しょうがないのでケータイで電話を掛ける (ケータイも滅多に掛けないがこういうときは役立つ)。 それでも開かず, ドライバでノブをはずしてみるがそれでも開かない。 しょうがないので窓から出て隣の部屋から入るという離れ業をする。 そのあと父がメカニズム全体をはずしてしまって, 調べてみると, どうやらバネが折れていたらしい。 それで 「ハイス戸襖ロック」 なるものを購入して付け替え。 \1450. 今まで開閉が悪かったのもついでに直そうと, ドアの上の部分をカンナで削る。 大分開閉が smooth に。 でも楽になったけど, 今まで硬かったからなんかすっと開きすぎて気持ち悪い。

一寸話を戻して, そういうことがあって 12:22 になってようやく電話が掛けられた。 Pコードはパルス式じゃ掛けられないので, うちではケータイで掛けるしかない。 私は彼女に振られてからケータイは本当に基本料しか払ってないのが続いていたが, 今日は大活躍である。 ところでぴあは電話予約の際に, 情報通信料なんかを取って稼いでいたんだね。 昔はそんなことなかったと思ったが, いつの間に変わったんだろ。 しかもやたらと説明が長いし。 手持ちの時計では 5’35” も話したことになってるよ。 ま, とにかく予約はとれたので, 一安心。 でも ticket 取りに行くのが暑いし結構面倒。 結局二十日まで取りに行かないことになってしまうかも。

Saturday, 17th July, 2004.


○| でチケット購入。 マタイの時に書いたように, 補助券が使えるから。 いつの間にか, そういう券の一覧表が作られていて, 更に ○| チケットぴあでも種々の credit card が使えるようになっていた。

席は一階 8 列 15 番。 一寸前過ぎるかも, という感じの席だが悪くはない。 当日が楽しみだ。

帰る道すがら, もしかして情報通信料を取られたのは, 先行予約だったからかもしれないと一寸思った。

Tuesday, 20th July, 2004.


Canio (カニオ) 役の Sergej Larin (セルゲイ・ラーリン) が健康上の理由により出演できなくなり, ジュゼッペ・ジャコミーニが代役を勤める旨新聞紙上で案内あり。 尚払い戻しは希望者に 8/20 から公演当日迄, 新国立劇場にて。

トーマス・ノヴォラツスキー オペラ芸術監督より
セルゲイ・ラーリン氏は, 医師による長期療養が必要との診断により, オペラ 「道化師」 のカニオ役に出演することができなくなりました。 我々は, 彼が一刻も早く芸術家として完全に復帰することを切望しております。  2004/2005 シーズンオペラのオープニング公演 「道化師」 カニオ役は, イタリアの代表的テノールで, 近年では最高の声とうたわれるジュゼッペ・ジャコミーニ氏がつとめることになりました。 彼は久々の来日に期待を膨らませています。 新国立劇場は, 偉大なる芸術家がこの短期間に出演を受諾してくださったことに関して大いに感謝したいと思います。

Tuesday, 10th August, 2004.


DoCoMo から請求書が来て, 情報通信量は \150 であったことが判明。 やっぱりこれは無料通話分には含まれなかった。 が, まぁ e+ の時に必要な郵送料に比べれば安いものだなと自分を納得させる。

Friday, 20th August, 2004.


2ch 「○ 新国立劇場 ● ♪第9幕♪」 にはこんなことが出ていた。 (改行などを多少調整)

396 :名無しの笛の踊り :04/09/09 23:19 ID:ttPtI9gb
ジャコミーニは良かったよ。64歳とは思えないな。
カヴァレリアはいまいちだったなぁ。パリアッチのほうが印象強すぎて。
プログラム冊子が本体と、キャスト表の別冊に分かれてた。
ゲネプロの写真を1枚300円で販売してた。
相撲取りが来てた。

397 :名無しの笛の踊り :04/09/10 00:19 ID:WgiMc2ZP
ジャコミーニ、凄かった。
4F1列のメガネ豚オタクがブーを連発、熱烈なカーテンコールの中、退散。
オマイのルックスがブーだろがw

398 :名無しの笛の踊り :04/09/10 00:21 ID:IU6boEL8
相撲取りがあの座席に座れるのかよ?

399 :名無しの笛の踊り :04/09/10 00:51 ID:wdj2HjXz
ジャコミーニ完璧! ああ歌われちゃ、誰だってブラボー言うでしょ。
とにかく凄かったよ! 背筋がゾクゾク来た。
残りの公演もランク8空いているかな?
この評判だと厳しい競争になるんかいな?

400 :名無しの笛の踊り :04/09/10 00:55 ID:91M9nRGS
俺も今日はジャコミーニが聴けて満足。
終演後これだけ客が盛り上がったのは久しぶりじゃねえ。
ジャコミーニもうれしそうだった。
初日恒例のブーイングだけど、どうやったらあんな汽笛の
ような音が出せるのかね。 マジでやり方おしえてほしいよw

401 :名無しの笛の踊り :04/09/10 01:21 ID:J07Vr4C2
>>397
そいつ、前にN響の定期でブルックナー演ったとき、顔真っ赤にしてブーイングしてたヤツだな、きっと。 なんか有名なヤツなんだろ?
ここも読んでるのかな。 激烈キモイ。

402 :ひでお :04/09/10 01:23 ID:eC5VajdF
五反田のソープの帝王

403 :名無しの笛の踊り :04/09/10 02:16 ID:fXoMwW+5
カヴァレリアもパリアッチも生で初めて見たけど分かりやすかった! 特にパリアッチは感動もんですな!でもネッダの高音が酷くない? ルックスはよかったけど

404 :名無しの笛の踊り :04/09/10 02:24 ID:IU6boEL8
例のだみ声オバサンどうでした?

405 :名無しの笛の踊り :04/09/10 02:26 ID:/OCn5amG
>>391
ゲネプロのカーテンコールでの誕生日イベントでした。 オケがハッピーバースデイを演奏、歌詞はイタリア語で歌ってたような。 ジャコミーニ氏は感激して泣いてました。
>>396
エリザベッタ・フィオリッロだけは安定した歌唱だったかと。
>>400
オペラ公演には昔から必ずやって来るブーイング男ですね。 もう10年くらいやってますよ。 とにかく、出来に関わらずブーイングしてます。
ゲネ(パリアッチ)では、指揮者が歌手にお構いなく走り過ぎて曲を乱してましたね。 長い公演でそこだけが唯一気掛かりです。 ジャコミーニを見ずに陶酔してオケを走らせて後半不調に陥れてましたから。 自由に歌わせれば、毎回大成功でしょう。

406 :名無しの笛の踊り :04/09/10 02:27 ID:/OCn5amG
>>403
高音逃げてますね。 弱点なんじゃないでしょうか。
>>404
Mamma以外使えないでしょうね。

407 :名無しの笛の踊り :04/09/10 15:44:31 ID:Rh3Sr+Yw
>>404
マンマというよりは、居酒屋の仕切りババアという感じだったな。

408 :名無しの笛の踊り :04/09/10 18:39:19 ID:QILFf5RE
東京リングからオペラに興味をもち始め、 主に1階のセンターあたりで観ていました。
昨日「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」に行ったのですが、
席は2階ギャラリーR1列を取ったのです。
そこで二つほど疑問が湧きました。 音楽に詳しくないのでトンチンカンな質問かもしれませんが ご存知の方いらしたら教えてください。
1:2階の席のほうが音がよく聴こえた感じでしたが、当たってますか?
2:オペラは音の増幅器(?)を使っているのですか?

409 :名無しの笛の踊り :04/09/10 18:45:43 ID:i0ggKBC9
聴いてみてちょっと困惑しているので、好みの違いなんてはぐらかさないでくだされ。もちろん、荒らすつもりじゃないし、眼鏡は使っているが 「メガネ豚」ではない。緊急リリーフのじいさん相手にブーイングなんかできません。 と長い前置きをしてから……。
マエストロ・ジャコミーニ、そんなにいかった? 声は大きいけど、艶のない高齢者の強張った声だし、楽しい芝居のおっちゃんの朗らかさが人を殺めるほどの嫉妬に変わってゆく過程の描き分けができていなかった、と思う。チョン+東フィルのような「爆音」の楽しみもあるが、ジャコミーニって歌手のキャラというか方向性は、そっち系なのか? そんなわけで、とても物足りなかった。

410 :名無しの笛の踊り :04/09/10 21:57:47 ID:DWuu6QF2
>>408
>1:2階の席のほうが音がよく聴こえた感じでしたが、当たってますか?
当たってます。
>2:オペラは音の増幅器(?)を使っているのですか?
マイクと言う意味なら、使っていない。

411 :408 :04/09/10 22:23:08 ID:QILFf5RE
↑>410
有難うございました。
音痴だし絶対音感なるものは全くなく、 でも何となく良かったので疑問に思ったしだいです。 これからは2階ギャラリー席のチケットを買うようにします。

412 :名無しの笛の踊り :04/09/10 22:46:56 ID:p4Ja+z0z
>>409
ジャコミーニって、昔の古き良き時代のキャラクターを残したテノールだと
思うんですよね。アルバレスなどに代表される現代のテノールってみんな
レッジェーロ路線で、決してドラマチックな歌い方をしない。だから破綻も しないし、音楽的に正確で器用な表現も可能になる。 それに対しジャコミーニってガポッと喉を開けてそのままのフォームを保って高声部を力強く豊かに出す。小回りがきかず不器用な面はご愛嬌。何しろ あの輝かしくて力強い高声域を聴ければそれでOKなんだから。 こういう様式のテノールって今時ほとんどいないんだよね。 普通こういう出し方をすると声がつぶれてしまうんだけど、彼は64歳でも 決してそんな気配もない。あの出し方でもきちんとフォームを保っているから出来る技なんでしょうね。昔の様式を現代まで保ち続けている生きた 化石のような存在だと思うんですよ。 超巨大戦艦のような歌い方だから、細かい機微を出して歌うにはちょっと
不向き。確かにそう言われれば「楽しい芝居のおっちゃん」の部分は不足
だったかも知れないけど、ネッダを殺す前の嫉妬の部分なんかは本当に
行っちゃっていて怖いとすら思ったよ。 って言うか、あのカニオがとても物足りないと言うのなら、誰に歌わせたら 満足できると思うのだろうか?今の世界であのキャラを出せる歌手ってそう簡単に探し当てることは出来ないような気が・・・?! (クーラなんかもう過去の伝説のような存在になっちゃったもんね・・・。 まだ若いはずのに・・・涙)
って訳で、昔のテノールオタクのおらは明日も絶対行きます。

413 :409 :04/09/10 22:53:10 ID:RBxo6kkH
>>411
下手ギャラリーは、ラッパの正面になるからやだな。

414 :名無しの笛の踊り :04/09/10 23:09:31 ID:QGrMg4Bo
>>412 ぜひぜひ漏れももう一度聴きたい!! けど明日は蝶々とかぶってるしその他はいけないんで諦めるしかない。 ジャコミーニも最高だったがトニオのティッヒっていうバリトンも なかなかでは?背低くて足短いルックスも合ってる!

415 :409 :04/09/10 23:54:09 ID:UBj5D/0q
>>412
なるほろ。 確かに、殺すところはすごかった。だから「とても」は言い過ぎかも ね。でも、その先の最後の一言「芝居は終わりだ」は、殺人鬼の勢い でもなく、芝居のおっちゃんでもなく、それまで出て来なかった「素の人間の悔悟」がこぼれる瞬間。そんなもう一つが、ほしいなぁ。 道化師とかオテロとか、一人の人間の持つ2つの葛藤するキャラクターが壊れていって、その変わり行く様子がとても面白いと思うわたし の聴き方は、ドラマ偏重に過ぎるのかな。
明日は反対側のギャラリーだべ。

416 :名無しの笛の踊り :04/09/11 01:02:51 ID:IGu677OY
>>415
もしも本当にドラマにこだわるならば「芝居は終わりだ」の一言は原作通り
トニオに言わせるべきだと思わんか? かの黄金のトランペットことモナコも「あれは本当はカニオが言うべきじゃ ないんだ」と言っていた最後の台詞。イタリア語に忠実に訳すと「喜劇は終わりだ」なんだよね・・・。 なぜ「喜劇」なのかをよく考えると、やっぱりトニオの台詞になるんだよなあ。 トニオの存在って実はこのオペラの核心に触れるものだと思うんだが・・・。
ちなみに、ティッヒのトニオは名演。ジャコミーニに隠れたけど、かなりの
水準でした。意外と騒がれていないけれど、おらは大満足!

417 :名無しの笛の踊り :04/09/11 13:41:13 ID:Z+VD6sNm
写真キターーーーーーーーーーーーーーーーーー
http://www.nntt.jac.go.jp/frecord/opera/2004%7E2005/cavapali/cavapali.html

あのミゼットは電動式? 人力?

割りに良い評判なので安心。

ところで, この最後の台詞はカニオかトニオか論争はこのあとも暫く続いたが, 決着しない。
ジャコミーニは初日が一番良かったとの噂。
指揮者阪氏が叩かれていた。


オペラを演出する際, 私にとっては音楽が最も重要です。 演出は音楽に反するものではありません。 勿論歌詞も大切ですが, 私は常に 「最初に音楽, 言葉はその次」 です。

Grischa Asagaroff
プログラムより

曇。 朝のうち霧のように雨が降るが, その後回復。 前夜の飲み会で睡眠不足で体調万全とは言えず。 15:45 頃初台に付き, 大分早いが夕食。 公演中眠ってしまわないようにチオビタを飲む。 上の方にあるように, プログラムは \800 で, 配役表だけを \200 で買うことも出来る (合計で \1000 というわけではない)。

「上演中後ろの客の邪魔になるから身を乗り出すな」 というアナウンスがある。 しかし立ち上がらなければその位は許容範囲じゃないかと思う。 只で配っている冊子 "Stage Note No. 69  の後ろの方, Information の 「お客様へお願い」 の項にも同じ記述あり。

新国立劇場は作りのいいホールだ。

Cavalleria Rusticana (16:59--18:15)

16:59 tuning.

左隣の爺が 「ママも知る通り」 の途中で雨の皮はむくは, 舐める音をチュパチュパ立てるは, げっぷはするは, 拍手はしないはでとにかくとんでもなくひどい奴だった。 (前の席の眼鏡の男性も振り向くほど気になっていましたね。)

歌手陣で若干のミスが見られたものの, 全般的には良い出来。

服装など含め, 全般に現代的演出だが, 台詞と合わない (馬車で酒を取りに行っている) 点を除き問題は見られない。 どうせイタリア語が分かる人間は少ないんだから字幕上自動車にしておけばいいのにと思う。

以前は Santuzza は馬鹿な女だと思っていたが, 今回プログラムを読んで, Turiddu の子を身籠っていたと知り, 無理からぬ事と感じた。 寧ろ Turiddu, Lola の方が愚か, と言うより全ては戦争がいけないのだと思う。

《休憩 25 分》 18:18--

アナウンスの際, 携帯を切ったかもう一度確認しろとのアナウンスがあったが, そんなことより, 公演中に飴の皮をむくなってアナウンスした方がいい。 別にこの公演に限らず問題になっている。

道化師 18:42--20:02 (アンコール含む)

件のうるさい爺はその隣の同じ group の別のオヤジが, 迷惑なことに気付いたのか席を交換してくれた。 お陰でこちらは問題なく聴けた。

Nedda 役の Julietto Galstian が最高音が出ていない。

Giuseppe Giacomini 最高。 非常に素晴らしい。 これで又暫く生きていく気が起きる。

上記のミュゼット (三輪トラック) はモーター音が聞えたので電動か? やはり現代的演出で, 写真で見ると俗悪だと感じたが, 実際に見ると全然そういう感じを受けない。 自然。 他に自転車なども登場。 こちらでも 「ロバを洗う」 という演出と合わない台詞があるが, この際字幕上 「車を洗う」 にしておけばいいのにと思う。

前奏でオケがへたっている点が見られた。 「仮面を着けろ」 のテーマが出てくるところ。 それで一寸心配になったが, 上記ゲネプロであったと言われるオケが走っているという点は改善されており良かった。

最後の台詞 「喜劇は終わった」 は確かに, スコア上は Tonio なのだろうが, 実際観てみると, あれは Canio 以外には考えられないような気がする。 確かに, Tonio が言うと, その台詞の性質が変わり, 物語全体も違った視点から観られるようになるのだが, 多分, 昔の人もやってみて, なんか違うと感じて Canio に台詞を変えたのではないであろうか。

しかし Tonio は, 教唆はするは, 幇助はするはで, 凄い役だな。 Tonio が 「喜劇は終わった」 というとき, それは Nedda への復讐が終わったということも含まれているだろう。

いつか又道化師を聴くとき, きっとあの時の Giacomini には遙かに及ばないと懐かしく思いだすこともあるのだろう。

今回二つの opera を連続して観て, Cavalleria Rusuticana の方が音楽は優れている (印象に残る melody が多い) が内容 (物語) 的には道化師の方がドラマティックで優れていると思われる。

いや, それにしてもセルゲイ・ラーリンには悪いが, 病気になってくれて本当に良かった。


Jenůfa を観た時に貰った二期会通信 vol. 257 に増井敬二氏が 連載 「オペラを考える」 23, カニオは芝居と現実を混同しなかった 歌劇 「道化師」 で二十三時が午後十一時というのは誤り という記事を見つけたので, その部分だけ引用する。

幕開きの一座登場の最後にカニオが, 今夜の芝居の開始を予告する場面がある。 良く 「二十三時から...」 とか 「十一時 (午後) から...」 と説明されるが, これも実は誤りである。 イタリア語では確かに "venitrè ore" だが, 私が昔に, イタリア人の神父さんに確かめたのによると, 古い習慣で一日八回のお祈りの最後のアヴェマリアを一日の終りとして, その一時間前を指すのだという (復活祭とかクリスマス或いは受胎告知を年の始まりとしたことと共通している)。 田舎での大衆芝居の開始が深夜では困るが, 最後のアヴェマリアの時刻は通常午後八時から九時くらいとのことで, 音楽之友社版の堀内敬三訳ヴォーカルスコアに 「今宵七時」 とあるのは, 流石物知りの大先輩の訳と感心させられるのである。

尚, この前には, 芝居と現実を混同したのは観客であって, カニオは 「畜生! 同じ言葉だ!」 をきっかけに芝居を止めて, 格好こそ芝居のままだが犯行に到ったという分析や, この後に, 「喜劇は終わりました」 という台詞は元のソンツォーニョ版では Tonio だったのが, カルーソーがカニオに変えたとか, Tonio の prologo の As, G のフェルマータが原譜にはないということなどが書かれていてかなり参考になる。

Sunday, 5th December, 5, 2004.


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