ここでは三角形の五心の存在定理そのもののみを述べる。証明はしない。総て初等幾何学的 (Euclid 的) に証明できる。
傍心と垂心については初めて聞く人も多いだろうが, 傍接円等は私は中学の作図問題で良く描かされたものである。
定義 三角形の頂点とその各々の対辺とを結ぶ線をその三角形の中線 median という。
定理 [重心定理] 三角形の三中線はその三角形の内部の一点で交わる。
定義 三角形の三中線の交点をその三角形の重心 barycentre という。
定理 [内心定理] 三角形の三つの内角の二等分線はその三角形の内部の一点で交わる。
定義 三角形の三つの内角の二等分線の交点をその三角形の 内心 incentre という。
系 内心を中心に持ち, 三角形の各辺に接する円が唯一つ描ける。
定義 上記の系で確定した円をその三角形の内接円 incircle, inscribed circle という。
定理 [傍心定理] △ABC に於いて辺 AB の延長上の点を D, 辺 AC の延長上の点を E とするときに, 外角 ∠DBC, ∠ECB 三角形の一つの内角 A の各々の二等分線は一点で交わる。
定義 上記の定理で確定した点をその三角形の傍心 excentre という。
容易に分かるように, 一つの三角形に対して傍心は三つある。
系 一つ上の定理で確定した傍心を中心に持ち, (上の定理で述べた傍心の場合) 辺 BC と直線 AE, AD に接する円が唯一つ描ける。
定義 上記系で確定した円をその三角形の傍接円 escribed circle という。
定理 [外心定理] 三角形の三辺の垂直二等分線は一点で交わる。
定義 三角形の三辺の垂直二等分線の交点をその三角形の外心 circmucentre という。
系 三角形の外心を通り, 三頂点を通る円が唯一つ描ける。
定義 三角形の外心を中心とし, 三頂点を通る円をその三角形の外接円 circumcercle, cercumscribed centre という。
定理 三角形の各頂点から各対辺に下ろした垂線は唯一点で交わる。
定義 三角形の三頂点から対辺に下ろした垂線の交点をその三角形の垂心 orthocentre という。
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