三角函数の加法定理 addition theorem of trigonometric functions

Wednesday, 28th June, 2000.

高校で三角函数の加法定理として習ったもの。 加法定理には三角函数以外にもいくつかの函数についての加法定理が知られているので, 「三角函数の」という言葉は単なる枕詞ではない。

三角函数の加法定理というのは良く知られているように:
sin (α+β) = sin α cos β + cos α sin β,
sin (α-β) = sin α cos β - cos α sin β,
cos (α+β) = cos α cos β - sin α sin β,
cos (α-β) = cos α cos β + sin α sin β,
tan (α+β) = (tan α + tan β)/(1 - tan α tan β),
tan (α-β) = (tan α - tan β)/(1 + tan α tan β)
のことである。(勿論対応して sec, csc (= cosec), cot の加法定理も存在するが, 普通はそれらには言及しない) ここではこれらの証明の色々を鋭角に限定して紹介しようというのである。実は, 鋭角に限定しても三角函数の連続性 (或いはもっと強く解析性) によって, 一般角全体で成立することが保証されるのである。

それらの何れにしても, tan の加法定理に関しては, tan x = sin x / cos x を用いて証明するので, それを最初に紹介する。それには, sin, cos の加法定理は既に分かっているものとする。このとき
tan (α+β) = sin (α+β) / cos (α+β)
= [sin α cos β + cos α sin β] / [cos α cos β - sin α sin β]……分子分母を cos α cos β で割る。
= [sin α/cos α + sin β/cos β] / [1 - (sin α/cos α)(sin β/cos β)]
= (tan α + tan β)/(1 - tan α tan β).
tan (α-β) の方も同様である。

  1. 素朴な方法
  2. Ptolemy の定理による方法
  3. (第二) 余弦公式による方法
  4. 幾つかの直角三角形を組み合わせる方法
  5. 連続性に関する補足

尚, 三角函数の加法定理の最も簡単な証明方法は回転変換の行列の積によるものであるが, 回転変換のところの説明が面倒であるので (そもそも変換って何 ? ってところが説明したくない (^_^;; ) ここでは省略する。


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